第六話 王家とミキタ
巨大タワーの最上部。
大きな部屋の1室にバスローブを着て椅子に座っている金髪の中年男性。
首元には3本のネックレスがきらつく。
「今回のテストの参加者は何人だ?」
スーツを着た秘書に問う。
秘書は資料を見ながら
「今回は125名の参加になります」
「ほう」
赤ワインが注がれたグラスを手に立ち上がり、隣室へと向かう。
「未来はどうなっている」
同時に3台のコンピューターをモニタリングしている男に声をかける。
「ミキタ様の地位、名誉は今以上になり、現王を超えるのに3年もかからないかと。99%の確率で後3年で世界はあなたのものです。心配ないでしょう」
「もっと衛星を打ち上げたらその確率はよりリアルに近づくか?」
「いえ。現在1,000台ほどですが、これ以上増やしてもさほど変わりはしません。日々データは更新されておりますし、予測自体も98%の結果を出しています。皆の足につけているデバイスもアップデートされており、より鮮明なデータが取得できています。心拍数や身体疲労度によって行動心理も読み解けるので、本当に現実と変わらない状況ができています」
《俺の天下ももうすぐか――》
「そうかそうか」
湧いてくる笑いをこらえながら答えるミキタ。
◇
エルム内にある王家の屋敷。
高いビルが建ち並ぶその都市で、低層ながらも広大な土地に建てられた城。
門から屋敷まで歩いて5分ほどの大きな土地が、ドーム型の透明な塀で囲われている。
その部屋の1室。
現王と元王がコーヒーを飲みながら話している。
「難しい時に王になってもろうて、わるかったのう」
白い髭が特徴的な元王。
「いえ!とんでもございません父上様。私にできる事を力を尽くして頑張らせていただきます。」
白いスーツに身を包み、スラッとした体形の現王子。
「お父上。そこでお願いなのですが、お父上の側近の2名の者を私にお貸しいただけないでしょうか?」
「よかろう。ワシから話しておく。」
「ありがとうございます。」
「何かあったらまた相談するがよい」
「はい。お父上」
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
もし面白いと思っていただけましたら、
ぜひページ下部の評価欄からブックマーク・評価をいただけると嬉しいです。
大変励みになります。
よろしくお願いいたします!!