第十三話 4人の過去
食事会場で4人は食事をとっている
テーブルには中華料理。
もうほとんど食べ終わっている。
「はぁ~食った食った」
シュウサがまたお腹を膨らませている。
アキがシンに前回のテストの事を聞くとシンが話し出す
「最終テストでダメだったんだ・・・僕。昔イジメられてたんだよね。13歳の時まで学校に通ってたんだけど・・・。何が理由か分かんないんだけどみんなで使えるSNSのトークの場から一人外されて。学校に行っても机がなかったり、物がなくなったり。それからすぐにリーダー的な男女5人組にパシリにされて、断ったら殴られて学校行けなくなって。3日目のテストで最後1対1のバトルだったんだけど、相手がそのいじめっ子の一人で。もう忘れられたと思ってテスト出たんだけど思い出して逃げ出したくなって、身体が震え出して棄権で終わった」
アキが気まずそうに答える
「そうだったのか・・・聞いて悪かったな」
「いや!今はみんなに出会えて心から嬉しいし楽しい。こんな日々が続けばなって思ってる。」
ナルが話し出す
「じゃあ私も自分の事話すね。私は有名なゴミタウンで生まれたの。基本1日1食しか食べれないけど別に不自由はしてなかった。パパから聞いた話なんだけど5歳の時に私の街からバトルの世界一の選手が出てね。ウミって選手。その選手を見て私も世界一になる!って毎日トレーニングを始めたらしくて。まぁ私はあんまりその時の事は覚えてないんだけどね。1年間毎日練習してたらしい。あまりにも本気で練習するからパパとママも応援してくれて少ないお金の中、色々なトレーニングの事調べたり、資料探してくれたり。それで今って感じかな」
シュウサがナルに聞く
「じゃぁ世界一になったらお金入るじゃん?何に使うの?」
「私が生まれた村みたいな所がいっぱいあるってのを聞いて、まずは鶏を大量に飼える小屋と鶏をプレゼントしたいかな?」
「なんでニワトリなの?」
「私の村ではそうだったんだけど飼育しやすし卵おいしいし、鶏に助けられたんだよね」
「へぇ~そうなんだ。アキはなんでプロになるの?」
「俺か?お前ら誰にも言わないって約束できるか?」
3人がうなずく
「俺なホントは女なんだよ」
驚く3人を見て更にアキは続ける
「ってか今でも身体は女なんだけど心はずっと男で。俺の村では親に言われて女として生活してたんだ。そん時はつらくてさ。何とかこの村を出ようと思って死ぬ気で勉強した。自分の体の事も知りたかったし。それで15歳でマッサラの街の学校に行くことを理由に家を出た。今年で学校を卒業なんだが帰りたくなくてな、あの村に。それで最後の望みとしてテスト受けてんだ。受かれば世界を回ることになるだろ?男で生きる為に戦ってるって感じかな?まずはプロになってお金がもらえたら手術して本物の男なる。その後は同じ悩みの奴を救えたらって考えてるかな。」
「そうなんだぁ~じゃシュウサは?」
ナルがシュウサに話をふる
「俺も話すの」
お腹が膨れて椅子にもたれていたシュウサは少し姿勢を正し
「俺はねぇ~知ってると思うけど4家の1つのアイスバード家の長男なんだ。弟が一人いて。スパルタな両親に勉強をさせられたんだけど俺バカでさ~。最初は頑張ってたんだよ?5歳の時から毎日監視カメラで見られながら家庭教師に勉強教えられてて。でも全然ダメで。2子下の弟の方が優秀でさ。それで嫌になってMNBで遊んでたらこれだけは上手かった。ひたすら一人で練習してたらこいつは邪魔だと思われたのか父親がベットごと買ってきて、元プロの秘書と毎日遊んでた。家はみんなでご飯食べんだけど弟の勉強の話ばっかりでウザくてさ。あまりにも俺に興味ない親にイライラして12歳でプロになって家を出ようって決めて。最後はこの家をクビにしてくれって親父に言って今かな」
「みんな色々あんだな」
アキが言う
「俺はお前らに出会えて本当に本当に良かった!明日も頑張ろうな!」
少し目頭が熱くなりながら大きな声で言うアキ
「うん!」
元気に答えるナル。うなずくシン
「おう!」
とシュウサも答える
◇
ホテルの810の部屋の前
ドアに入ろうとしているシュウサ
「じゃ、あしたな」
とドアを開け入る
「うん」
ナルも横の部屋に入ろうとすると
ドアから顔だけ覗かせているシュウサが
「ってか気になってたんだけどナルさぁ夜寝る前に何してんの?いっつもドンドン聞こえてくるんだけど」
「ジャンプとか壁蹴りとかかな?5歳のときに世界一になるって決めてから一応毎日やってて」
「毎日ぃ~!?すげーなナル」
「いや凄くないよ!ただ自分で決めた事やってるだけ」
《いや、それが凄いんだけどな》
「まぁ明日もあるし早く寝ろよ~」
「うん」
部屋に入っていくシュウサを見てナルも部屋に入る
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