99話 もてあそぶ大吉さんなのです。
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しかし罪の意識があろうとなかろうと興味を持ってしまった無意識は止められない。
右手で玉を押しながら左手で自分の胸を揉むという行為を止められなかったのだ。
……変態だな……俺……。
自覚はある。
ある。が、無理なものは無理、止められないのは止められないのだ。
だって柔らけえし。気持ちいいし。
そういうことをしながらも俺たちの玉は順調に転がり続け、恵ちゃんたち四女神に続いて一年男子(?)チームは二位でゴールすることができたのだった。
そしてゴールの瞬間に俺たち一年男子四人は元の男の身体に戻っていた。
もちろん新井を含め他クラスの二人も女体化していたことなんて一切憶えていない様子。
「なあ、新井。……加茂ダイキチーナって女の子知ってるか?」
「ダイキチーナちゃん? 誰それ? 加茂くんのいとこにハーフの女の子でもいるの?」
「いや、いい。ありがとう。忘れてくれ」
どうやら神力の能力はやっぱり相当強い。
――ダーンッ。
そして終了の合図がなり俺たち一年生の一位と二位が確定した。
「ふぉふぉふぉ。これで一位の十万円、二位の五万円の商品券はゲットじゃな」
集子ちゃんがご満悦な笑顔になる。
そのときだった。
恵ちゃんが不気味に微笑むと俺に近寄ってきたのだ。
「ふふふ……」
「な、なんだ……?」
俺は思わず身構えた。
なんかイヤな予感がしたからだ。
「見ましたよっ? 自分自身をまさぐるダイキチーナちゃんのことっ」
「う、ぐぐぐ……っ」
俺はのけぞって絶句する。
だってなにも言えないだろう。
「ふふふ。ちゃんと大吉さんは女の子に興味あるんですねっ?」
「……お、俺は女に興味がないとは一言も言った記憶はないぞ」
「ほおー。……まあでも、少なくとも女の子の身体には興味があるんですねっ?」
「う、ぐぐぐ……っ」
ぐうの音も言えん。
「へへへ。いいんですよっ? だったら私のを触ってもっ」
「平らなモノを触っても嬉しくないわっ!」
「ああっ! 言いましたねっ。いいんですよ胸だけ巨大化させてもっ!」
「だからそれはアンバランスだから止めろと言ったろうっ。不気味だろうがっ!」
そんなこんなしょーもないことを俺と恵ちゃんは言い合ったのであった。
■
その次は二人三脚が開催される。
一年女子は案の定、四女神が出場となっていて、一年男子は俺たち二組からは誰も出場がなく、すべて一組と三組からとなっていた。
ところがである。
「捻挫?」
そんなキーワードが聞こえてきた。
耳をそばだてていると、どうやら二人三脚に出場予定だった一組の男子が直前に転んで足首を捻挫してしまったらしく出場できないとのことなのだ。
「それで二組から代役を出して欲しいらしいのよ」
学級委員の河合さんがそう俺たち男子に説明していた。
悪いが俺は気乗りしないので知らんぷりを決め込んでいた。
ところがである。
「はいはいはい。大吉さんが出場したいそうですっ」
背の小さい恵ちゃんが挙手しながらぴょんぴょん跳ねて、河合さんに猛烈アピールしているじゃないですか。
「な、なに言ってんだ、お前!」
俺は恵ちゃんを慌てて取り押さえようとして立ち上がる。
「はい。じゃあ加茂くんに決定ね。私、伝えてくるよ」
そう言って河合さんはくるりと踵を返すと運営委員会の方角へと去ってしまったのだった。
「お前、どういうつもりだ?」
「いいじゃないですかっ。たまには私と競技をしましょうよっ」
なんと捻挫をしたのは恵ちゃんと組む相手だったようだ。
……ま、まさか?
俺はジト目で恵ちゃんを見た。
すると恵ちゃんはあらぬ方角を見て下手な口笛を吹いている。
「はう。……痛いですっ」
手刀を落とした。
「お前、人様に怪我させたのか?」
俺は恵ちゃんの態度から一組の男子の捻挫は恵ちゃんの神力だと看破したのだ。
「はう。……だ、大丈夫ですっ。後でなにごともなかったかのように完治させますからっ」
……はあ。まあしょうがないか。
俺は諦めの心持ちで四女神とともに二人三脚の競技場へと向かうのであった。
大吉さんは事実上、恵ちゃんの保護者のようなものなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。