98話 自分で触ってみたのです。
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「やだなあ。私よ。新井慎一子だよ」
そう言ってウフフと微笑むのだ。
……ま、まさか? 嘘だろっ?
と思ったのだが、よくよく茶髪ポニテ美少女を見れば、目元や鼻の造りになんとなく新井の面影がある。
なるほど……。
うまくは説明できないのだが、新井をベースにして、これでもかとこねくり回して美少女を作り出せばこうなるのだろうと言った感じの少女が、俺のすぐ左側で玉を押している慎一子だった。
そして更に見れば新井の向こうにいるやる気のない他クラスの男子も俺の右側にいる脳筋馬鹿のヤツもいつのまにかそれなりの美少女になっていたのだ。
……むむむ。
これは臥留子ちゃんの神力か?
そう思って遥か前方で先頭で玉を押す臥留子ちゃんがこちらを見て、ドヤ顔でVサインを出しているのが見えた。
なるほど。これは間違いなく臥留子ちゃんの能力の女体化だ。
俺たちのチームワークがバラバラなのを見て、メンバーを女体化して操ることで意思の統一と腕力の統一を図ったのだろう。
「……ま、待てよ? 女体化?」
そうなのだ。
新井や他クラス男子二人が女体化しているのだ。
だとしたら俺はどうなっているのか? という疑問が湧いたのだった。
「……げ、金髪っ!?」
最初に気づいたのは自分の髪の毛だった。
黒色短髪なのが俺なのだが、肩からサラリと風に流されて舞うように胸元になびいてきた長い金髪の毛先が目に入ったのだ。
サラッサラのその髪の毛は陽の光を浴びて金色に輝いていた。
そして胸元にある金髪の毛先を見ていたら、そこに異変があることに気づいた。
……揺れているのだ。
玉を押すために歩を進めているのだが、その歩みに応じて自分の豊かな胸元が、ユルンユルンと大きく弾んでいるのがわかった。
「……な、なあ、新井? 俺、誰だ?」
俺は左横の茶髪ポニテに尋ねた。
新井慎一改め、新井慎一子ちゃんにだ。
「なに言ってんの? 加茂ダイキチーナちゃんじゃない?」
「な、なんじゃそりゃああああ~っ!!」
どうやら俺はどっかの西洋人とのハーフかなんかで、ダイキチーナとか言う名前の少女らしい。
どういう設定だよっ。
まあ、どうせこの玉転がしの間だけだろうし、それが終われば臥留子ちゃんの神力が解除されて記憶も改竄されて、このダイキチーナちゃんは存在しなかったことになんだろうから、それまでの辛抱だ。
俺はそう思ってあきらめることにした。
そして折り返し地点が過ぎた頃には俺たち一年男子(?)チームはなんと二位になっていた。
やはりこういう競技はチームワークがなにより優先で、決して腕力とか脚力とかが勝利条件にはならないことがよくわかった。
そしてである。
俺はひたすら玉を押している訳だが、視界の下の方ではユルンユルンと揺れ続ける自分の胸が見えているのだ。
……ずいぶん揺れるんだな。きっと……柔らかいんだろうな?
そんなことを思ってしまったのだ。
そしてである。
気がついたら右手だけで玉を押していて、左手をそっと自分の胸に伸ばしてしまったのだ。
「……う、ぐぐぐ……」
柔らけえ……。
餅かプリンみてえじゃねえか。
揉んでみたらそんな感じがしたのだ。
自分の心は男。だが身体は女体。
そんなことから俺は自分の身体なんだから、触っても罪じゃないだろうと、ついつい触れてしまったのだった。
こうなると他の部分も触れたくなるのが人情だ。
俺はそのまま左手で自分の尻を触ってみた。
柔らけえ……。
餅かプリンみてえじゃねえか。
揉んでみたらそんな感じがしたのだ。
自分をいくら触ろうと罪にはならないはず……。
だが俺はなぜだか罪の意識を感じてしまったのだった。
大吉さんはちょっと変態が入っているのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




