96話 裸作戦で勝利なのです。
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「「「「「きゃーっ」」」」」
そんな悲鳴が聞こえた。
赤い印の棒を守る一年女子たちの叫びだ。
ちぎっては投げちぎっては投げ、と言う言葉が適切なほどアマゾネス集団が棒を守る一年女子たちの身体を掴んで後方へと投げているからだ。
「……まずいな」
一人減り、また一人減りと棒を守る層が見る見る薄くなっていく。
これじゃ遠からず一年生の棒は倒れるのが簡単に予想できる。
「「「「「ウラーッ!!」」」」」
アマゾネスたちの雄叫びが一層高くなった。
そんなとき突然だった。
――ダーンッ!――
と、試合終了を告げる合図が鳴らされたのだ。
見ると、三年生の黄色い棒が最初に倒れ、次いで二年生の青い棒がゆっくりと倒れるのがわかった。
……な、なんだ?
俺はそちらを注視した。
すると、一斉に悲鳴が聞こえてきたのだ。
「「「「「きゃーっ。止めてよっ!!」」」」」
「「「「「お願いっ。見ないでよーっ!!」」」」」
驚いた。
二年生の棒を守っていた女子たちも、三年生の棒を守っていた女子たちもみんな裸になっていた。
二年生の女子たちは全身の素肌を晒し、胸の部分と下の部分だけが残った端布を両手で抑えてうずくまった。
ただし何人かの二年女子は、胸が豊かなせいで隠しきれない気の毒な少女もいる。
「「「「「恥ずかしいよっ!!」」」」」
身じろぎしながら恥ずかしがる二年生の周りには倒れた青い棒と、それの直ぐ側に腕組みしているドヤ顔の辻神呂姫ちゃんと山井臥留子ちゃんがいた。
そして三年生の方はもっと悲惨だった。
こちらの女子たちは完全に全裸で真っ白な素肌を晒している。そして右手で胸を左手で下を隠してしゃがみ込んだ。
三年生ともなると、たわわな女子生徒が多くて隠すのが大変そうだ。
「「「「「いや~っ 恥ずかしからっ!!」」」」」
いや、全裸と言うには語弊がある。正確には裸シューズだ。スニーカーだけは武士の情けで残されていたのだ。
その近くには両手を腰に添えて呂姫ちゃんたち同様に、ドヤ顔の神子恵ちゃんと金尾集子ちゃんの姿があった。
つまりである。
肉を切らせて骨を断つの作戦で、一年女子は棒の守備側はアマゾネス集団に好きにさせといて、その隙をついて四女神たちが二年生女子、三年生女子の守備側選手たちを素っ裸にさせて、棒を守れなくして倒したのであったのだ。
これで十万円獲得である。なんともはや。呆れてものが言えん。
もちろん裸うんぬんはすべて神力なので、競技終了後の記憶改竄は当然のように行われており、少女たちは辱めを受けた記憶は一切残っていない。
「勝ちましたっ!」
「やったわね!」
「……こんなに……うまく……いくと思わなかった……」
「ふぉふぉふぉ。ワシの作戦勝ちじゃ」
誰のセリフかといちおう説明すると、恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんの順だ。
「お前らなあ~。少しは手加減しろよな」
「はう。……ちょっと痛いです」
「お、おう。……少し痛い」
「く……。痛」
「痛いのじゃ」
俺はいちおう注意した後に軽く手刀を落とす。
「でもでも、仕方がないんですっ」
「そうよ。体力がない一年生は最初に狙われちゃうんだから……」
「……ワタクシも……そう思う」
「ふぉふぉふぉ。商品券は欲しいしのう」
と、反省の色なしだった。
とにかくこれで学年対抗の得点は一年生が追い上げて、三年生との差は再び僅差となったのであった。
一年女子、逆転勝利なのです。ヽ(^◇^*)/
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




