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95話 アマゾネスなのです。

【毎日昼の12時に更新します】



 

 学年対抗の順位は三年生がトップ、それを僅差で一年生が追うという展開になっていた。競技も中盤に入り、お昼休憩を挟んで最初の競技は棒倒しになっていた。




 棒倒しは流石に体力勝負の競技だし、肉体が密着し合うこともあって男女別になっている。

 まずは男子からだった。




 そして結果から言えば一年生は最下位だった。

 体力的に劣る一年生を二年生、三年生たちが共謀して最初に倒してしまったからだ。

 その後は二年生と三年生との勝負になったが、これも体力勝負で三年生が妥当に優勝したのであった。




 これによって学年対抗の得点は三年生が百点近く一年生を引き離す結果となっていた。





「ところでですっ」




 棒倒し競技に参加するために準備をしていた恵ちゃんが、突然、俺に振り返って尋ねてきた。




「なんだ?」




「これまで綱引き、玉入れ、百メートル走と美少女たちの恥ずかしい姿をたくさん見てきましたよね?」




「……あ、ああ、……不本意ながらそうなるな」




 と、俺が返答すると恵ちゃんにニヤアと笑う。




「どうですっ? どうですっ? 子作りしたくなってきましたかっ?」




「馬鹿言うな……。ああいうのは、ラッキースケベと言うのだ。

 いちいちラッキースケベで発情していたら世の中の男はすべて性犯罪者になっちまうだろうが?」




「そ、そんなあ……。あのラッキースケベを覚えているのは人間では大吉さんだけなんですよっ? 他の人は当事者も含めてすべて記憶していないってのにっ……」




「だったら余計に問題だ。裸を見せた記憶もない少女に俺がいきなり襲いかかるなんて、どれかけ鬼畜の所業かって話になるだろうがっ!」




「はう。……痛いです」




 恵ちゃんは俺の手刀を額に受けて涙目になっているのであった。




 そして呼び出しのアナウンスがあり、棒倒し競技の各学年の女子選手たちはグランド中央へと呼び出されていった。




 俺はそれに参加する神子恵ちゃん、辻神呂姫ちゃん、山井臥留子ちゃん、金尾集子ちゃんたちを見送るのだった。




 そしてグランドには、選手たちによって建てられ人力で固定された背の高い木の棒が、三本屹立していた。




 それが学年カラーである赤、青、黄色に塗り分けられているのだ。

 その棒を大勢で輪になって中心の木の棒を四方八方から抑えて支えているのである。




「位置について。よーい――」




 ――ダーンッ!――




 棒倒し競技が始まった。

 棒を支える守備側が動くことはないが、他の学年の棒を倒すための攻撃側選手たちが一斉に動き出す。




「……やっぱりそうだろうな」




 俺は攻撃側の選手たちの動きを見て感想を持った。

 やはり体格的に劣る一年生を先に倒そうと思ったようで、事前に打ち合わせなどしている訳もないのに、二年生、三年生たちが一年生の赤い印がついた棒へと殺到したのであった。




「……な、なんなんだあれっ?」




 俺は三年生女子の攻撃側一団にやたら全身の肉付きがよい集団を見つけたのである。

 背が高く、肩幅と腰が大きく腕と太ももが太い。おまけに胸もデカい。




「あれは女子柔道部とか女子レスリング部とかの先輩たちだよ。身体が大きいし、力があるから強敵だよね」




 学級委員の河合香菜さんがそう教えてくれた。




「……こう言っては失礼ですけど。あれではまるでアマゾ……」




 上品な澤井遙香さんが言葉を濁した。それ以上はホントに上級生に対して失礼だと思ったのだろう。




 言いたい単語はわかる。あれはまるで女マッチョ戦士軍団のアマゾネスみたいじゃないか……。




 そんなアマゾネス集団十名ほどが一年生の棒へと飛びかかるのが見えた。


一年女子、大ピンチなのです。(`・ω・´)∩




よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「生忌物倶楽部」連載中


「夢見るように夢見たい」連載中



「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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