94話 裸シューズなのです。
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ただひとつ俺には不安がある。
恵ちゃんは走るのが得意と言っていた。それは自己申告だが嘘を言っても仕方がないことなので、きっとホントに速いのだろう。
だが、だ。
一年女子はいちばん足の速い恵ちゃんを最終走者にした。
これって、二年生、三年生も同じじゃないか?
つまりどの学年もいちばん足の速い選手を最終走者にした可能性が高いと言うことだ。
俺はそれを伝えた。
「神子恵はいつも逃げ足は速いから大丈夫じゃない?」
「……大丈夫。……恵ちゃんは速いから……」
恵ちゃんをよく知る呂姫ちゃん、臥留子ちゃんからは問題ない発言があった。
ちなみに集子ちゃんは、ふぉふぉふぉと笑っているだけだ。
まあ、大丈夫なんだろうな……。
そう思うことにした。
そして恵ちゃんたち、女子の最終走者はスタート位置についた。
「位置について。よーい――」
――ダーンッ!――
驚いた。
一斉にダッシュした各選手たちの中からいちばん小柄な恵ちゃんが飛び出したのだ。
速いっ!
もちろん二年生の選手も三年生の選手も速いのだが、速さのレベルが違う。
まるで男子陸上部の短距離レギュラー選手かと思うような素晴らしいスタートダッシュを決めたのだ。
そして一度開いた差は縮まることなく十メートル、三十メートル、五十メートルと経過する。
「神力、いらないな。……なんだ恵ちゃんのヤツ。やればできる子なんじゃないか」
俺はそう口にした。
だがそれは悪い意味でのフラグだったようだ。
八十メートルが経過して、開いている後続との差からもう恵ちゃんの勝利が確定したと思われる瞬間だった。
……転けた。
なんもない平らな地面で恵ちゃんがコテンと転けたのだ。
とんでもないドジっ子である。
その転び方は、転び方の見本と言っても過言じゃない転び方で顔面胸元からベチャと地面に両手を開いたままの着地だったのである。
……あーあ。
残念だったな。でもしょうがない。これも勝負事だ。
俺はそう思った。
そのときだった。
転んだままの恵ちゃんが右手の手のひらを追い抜いていく二年生、三年生女子に向かって伸ばしたのだ。
「いや~っ! なにこれ~っ!」
「止めてっ! 見ないで~っ!!」
するとである。
全力疾走していた女子二人がいきなり全裸になってしまったのだ。
体操着も中に着ていたはずの下着も一切合切なんの前触れもなくこの世から消滅してしまったのだ。
唯一身につけているのは足元のシューズだけ……。
つまり裸シューズというシュールな絵面が競技会場に出現したのであった。
世にいう変態紳士とは素っ裸にネクタイだけ締めていると言うが、突如現れた露出美少女たちは足元にスニーカーだけを身に着けて陸上トラックに屹立しているという状態となってしまったのだ。
「ホントに止めてよっ~! ふえ~ん……」
「いやよっ。どうしてっ……」
すでに二年生、三年生の女子たちは真っ白な柔肌を晒し、両手でたわわな胸を隠してしゃがみ込んでしまっている。
そんな中、ゆっくりと立ち上がった恵ちゃんはスタスタと走り出すと残り二十メートルを独走して一位でゴールするのであった。
観客席が爆発したかと思った。
そのくらい興奮で盛り上がり、一年生の逆転優勝を祝福したのである。
その瞬間に裸シューズとなってしまっていた女子二人は服が元に戻り、なにごともなかったかのようにそそくさと二位、三位としてゴールしていた。
まったくもってすさまじい恵ちゃんの神力である。
誰かを裸に剥くのは、やはり恵ちゃんがいちばんのようだ。
そして神力の影響で裸シューズにされた選手二人も観客たちもそのこと自体はなにも憶えていない様子だった。
「やりましたっ!」
意気揚々として引き上げてきたのは恵ちゃんだ。
「一位、おめでとう。……だが、これはお約束だ」
「……はう。……ちょっとだけ痛いですっ」
俺は軽めの手刀を落とすのだった。
そしてその後は男子の百メートル走が行われた。
だがそれは三年生がすべて優勝と言う妥当の結果に終わったのだった。
やっぱりお色気シーンはたのしいです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




