93話 端布で走らされるのです。
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続いての女子の走者は辻神呂姫ちゃんだった。
呂姫ちゃんはすでのスタート位置についている。
肩までのショートボブで金髪碧眼。
真っ白な体操着によく似合っている。正に健康的美少女だ。
スタイルも抜群なので男子たちだけじゃなくて、一般観客席の男どもの視線も一身に集めている。
「位置について。よーい――」
――ダーンッ!――
合図が鳴り、スタートした。
他のレースと同じでスタート時は団子状態で駆け抜けると思ったのだが、呂姫ちゃんは足が速いようで二年生、三年生をすでに抜き去り独走状態となっている。
「なんだ神力を使わなくたって速いんじゃないか。これなら……」
俺は素直に呂姫ちゃんに感心した。
ところがだった。
「……呂姫ちゃん。瞬発力はあるんですが持久力がないんですよっ」
恵ちゃんから不穏な解説が入ったのである。
するとその言葉が真実だと証明するかのように呂姫ちゃんのスピードが落ちてきて、あっという間に二年生、三年生に追いつかれてしまったのだ。
このままじゃ抜かれるのは時間の問題だ。
まだ距離は四十メートルは残ってるし……。
そのときだった。
「きゃーっ! 止めてっ~!!」
「お願いっ! 恥ずかしいっ!!」
呂姫ちゃんを追い抜いた二年生と三年生女子がいきなり失速した。
それもそのはずで服の大部分が突然になくなってしまったのである。
具体的に言えば体操着も下着も消えていて胸の部分と下の部分に端布が残っているだけなのだ。
なので二人の女子選手たちは右手で胸の端布を左手で下の端布を必死で抑えている状態なのであったのだ。
そして付け加えて言えば、二年生の女子も三年生の女子もなかなかの美少女の上に、呂姫ちゃんに負けなくらい胸がたわわだったことでお色気度が半端ない。
揺れる胸を一生懸命押さえつけるのに必死になっているのだ。
ここで思ったことがある。
胸と下を隠すために端布を残したのは呂姫ちゃんの武士の情けじゃないんだろうな、と。
呂姫ちゃんは着ている服を水着に変えるのは得意だが、恵ちゃんのように全裸にするのはそれほど得意じゃないと今までの経緯からそう考えている。
なので服の一部が端布として残ったんだろうなと俺は推測した訳だ。
そんなアクシデントに見舞われた先輩選手たちを悠々と追い抜いて呂姫ちゃんはトップでゴールしたのだった。
一年生の観客席も一般の観客席も大歓声である。
独走して追いつかれて、更に抜き返しての勝利は見応えがあったはずだ。
……もちろん神力なのでいんちきはバレていない。
「……仕打ちは受けるわ。五万円のためだもの……」
俺たちの元に帰ってきた呂姫ちゃんは額の前で腕をクロスさせて俺を見て身構えた。
俺はホントに軽く手刀を落とした。
「お、おう……。ちょっとだけ痛い」
「ほどほどにな」
俺はそう言葉を返すのであった。
「さあ、最後は私ですねっ。私の走りをちゃんと見ていてくださいねっ」
そう。残ったのは女子最後の走者である神子恵ちゃんだった。
お色気シーンは書いていて楽しいですね。ヽ(^◇^*)/
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




