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90話 玉入れもビキニ姿で勝つのです。

【毎日昼の12時に更新します】



 

 次は男子による組体操。

 そしてその次は女子による創作ダンスだった。




 これは競い合う競技ではない。

 そのため得点には加算されないので、四女神たちによる神力もなかった。

 なかなか平和な展開だ。




 そしてその次は玉入れだった。

 これは三学年同時に行える競技なので、綱引きのように予選はなく一発勝負だった。




 玉入れは頭上高く設置された大きな籠に各チームごとの色が付いた布の玉を投げ入れるお馴染みのアレだ。




 通常は紅白二色に分かれて行われるが、今回は三学年同時なので色も三色必要になる。

 そこで使われるのが上履きや名札の使われる学年のカラーだ。




 一年生は赤、二年生は青、三年生は黄色の色に上履きや名札の色が別れている。

 その色の違いをそのまま玉入れの布の玉に用いているので地面には三色の玉が混在している。




 各学年チームは自分の学年カラーの玉を自分のチームの籠に入れることで得点となる。

 もちろん違う学年チームの籠に入れてしまった場合は無効となってしまう。




 まあ、間違って他チームの籠の入れる馬鹿はいないだろうから、それは問題ないだろうが……。




 試合会場にはすでに固定された背の高い赤、青、黄色に別れた籠が離れて設置されていて、その足元には大盛り山盛りにされた各色混在の布の玉がグランドに置かれている。




 選手たちもそろって身構えており、後は開始の合図を待つばかりとなっていた。




「位置について。よーい――」




 ――ダーンッ!




 開始の合図が鳴り、選手たちは一斉に山盛りにされた布の玉に山に向かった。

 そして目当ての色の玉を握ると自分チームの籠に入るように投げ入れる。




 が、これがなかなか難しい。

 真上に投げれば当然真下に落ちてくるので籠には入らない。




 だからちょっと位置を下がって角度をつけて投げるのだが、勢いをつけ過ぎると籠を飛び越えてしまうし、勢いが足りない場合は籠の側面に当たって地面に落ちてしまうのがほとんどだったのだ。




 そんな中、意外にうまい選手がいた。

 恵ちゃんだった。




 斜めに角度を付けて投げた布の玉が籠の頂上付近に到達すると野球のフォークボールのようにストンと真下に曲がって籠の中にインするのだ。




「……変化球か、うまいな。……って、あれって神力じゃねえのか?」




 俺は疑問を持つ。

 プロの野球投手じゃないのだ。そんな見事な変化球が神力なしに恵ちゃんに投げられるとは思えない。




「それはズルだぞ」




 俺は思った。

 確かに綱引きだった場合は体格差、男女差の違いが出るので神力もやむ無しと思ったさ。でも玉入れに体格差、男女差はないだろうが……!




 これは戻ったら要注意だな。




 そう思ったのだが、それ以上のことをしでかすヤツが目についた。




「ふぉふぉふぉ」




 元:ジジイの集子(あつまるこ)ちゃんだ。

 なんと集子ちゃんは青と黄色、つまり二年生三年生の玉を意図的に掴んで一年チーム用の赤い籠に放り込んでいるのだ。




「……意図的だな? さすがは高利貸しの集子ちゃん。作戦が狡猾だ」




 これはつまりこういうことだ。

 赤い籠に入った青、黄色の玉は無効。

 つまり他チームの玉を減らして加点させない手段に出たのだ。




 したがってこのままだと二年生と三年生は投げるべき玉がなくなるというジリ貧作戦なのだった。




 だがこれは責められることじゃない。

 他チームの玉を投げてはいけない決まりはないからだ。




 だが女神たちの行動力はそれで終わらなかった。




「「「「「キャーッ!! なにこれっ!!」」」」」




 驚いた。

 二年生、三年生の女子たちが全員きわどいハイレグビキニ姿になってしまっているのだ。全裸ではないにしても、突然の水着姿はさすがに恥ずかしいので手で胸と下を隠してしまうことから、玉入れどころではなくなってしまっている。



 

 しかもである。

 二年生はマリンブルー色、三年生はレモンイエロー色と学年カラーに合わせたビキニに仕立ててある凝りようだ。

 



「「「「「恥ずかしいよっー!! 止めてっ!!」」」」」




 ビキニ姿にされた二年、三年女子たちの悲鳴が響き渡り、やがて羞恥のあまりしゃがみ込んでしまう有様だ。

 会場は突然の事態に一瞬沈黙した後、大歓声となる。

 なにか特別の余興だと勘違いしたようだ。




 そして二年、三年の男子選手たちだ。

 男子の悲しい(さが)で薄着の若い女性が目の前にいる。それも多数いる。

 すると目が釘付けになってしまって玉入れどころじゃなくなってしまったのだ。




 むろん一年男子も二年、三年の先輩女子の水着には見とれてしまい手を止めてしまうが、元々男子生徒が少ないのが一年生だ。




 なので一年女子生徒たちは水着姿を不審には思うようだが、作業の手は止まらず玉入れを続行し続けるのであった。




 ……水着とくれば、これは呂姫ちゃんの仕業か?

 以前に恵ちゃんをスク水姿にしたことを俺は思い出したのであった。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「生忌物倶楽部」連載中


「夢見るように夢見たい」連載中



「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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