表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/497

09話 教室にいたのです。

【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】


この物語は毎話毎話が短いです。

それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。

……決して、私の手抜きではありません。……きっと。(´・ω・`)ショボーン。



 


 学校に着くと、

 すでに新入生たちが集まり始めていた。


 神武(じんむ)学園は基本的に全寮制なので、

 参列する保護者の数は少ない。

 一部の近所のやつだけが、自宅から通っているので親同伴で来ている様子だった。




 俺は受付を済ませ体育館に入った。

 場所はすでに事前の体験入学で知っているので困ることはない。

 俺は一年二組と決まったので、二組の列の椅子に座る。




「……流石に知ってる顔はないな」




 俺は周りを見回したが、

 見知った顔は男女ともに誰もいない。

 俺は隣の県からの入学なので、同学年には同じ中学出身は誰もいないはずだ。




 そして入学式が始まった。




 式は型どおりで校長の挨拶から始まり、

 先輩の代表も壇上に登り新入生たちに挨拶をする。

 そんなことが二時間近くもかかった。




 俺は最初は真面目に聞いていたのだが、

 だんだん眠気が襲ってきて、

 その度に自分を奮い立たせて、とにかく目だけは開け続けているように努力した。




「では、各クラスに移動します」




 アナウンスがそう告げて入学式が終了した。

 そして俺はぞろぞろと歩く新入生の群に混じって渡り廊下を通り、

 校舎へと向かったのであった。




「お……」




 俺はそのときひとりの少女に目が行った。

 目の前を偶然に通過しただけなのだが、その美貌に一瞬で心を奪われたのだった。




 背は高くすらりとした体つきで、つやつやの黒髪を背の中程まで伸ばしている。

 そして顔つきはまるで作り物のように整っていた。

 目鼻立ちがしっかりしていて清楚な印象を受けた。




「どのクラスなんだろう?」




 俺も年頃の男だ。

 やはり気になって後を付けるように歩くと、

 ラッキーなことに二組の教室へと入っていくのが見えたのだ。




 そして黒板に事前に書かれていた席順を見ると、

 驚いたことに俺の隣の席に座ったのだ。




「……澤井遙香(さわいはるか)さんか」




 俺は黒板を見て彼女の名前を憶えた。

 これはチャンスを見てお近づきになりたいと密かに思ったのだ。




 そのときだった。




「……げげっ」




 俺はいきなり目に飛び込んできた姿に、

 思わず立ち上がってしまった。

 周りの目をはばからずの行動だったので、クラス中が俺に視線を送ってくるのがわかった。




 だがマジで真剣に驚いたのだ。




「め、(めぐみ)ちゃんっ! 

 ……な、なんでお前がここにいるんだっ!」




 俺は叫んでいた。

 そうなのだ。

 俺の斜め前方の席に腰掛けているのが、

 制服姿の神子(かみこ)(めぐみ)ちゃんだったのだ。




「イヤですよっ。

 同じクラスだからに決まってるじゃないですか? これからよろしくっ」




 憎らしいことにやつは全然驚いていない。

 おそらくたぶん神様なのだから、

 神力(しんりき)とかいう能力を使って、さらっといろんなことを細工したに違いない。




「ちょ、ちょっと話がある」




「な、なんなんですかっ?」




 俺は注目されているのにも構わずに、恵ちゃんの手を取った。

 そして廊下へと引っ張っていったのである。




「入学早々、大胆なヤツだなあ」




 クラスの一部から感嘆とも失笑とも取れる声が聞こえたが、

 俺は構わずに恵ちゃんの手を引っ張ったのだった。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み

「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み

「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み

「墓場でdabada」完結済み 

「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み

「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み

「空から来たりて杖を振る」完結済み

「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み

「こころのこりエンドレス」完結済み

「沈黙のシスターとその戒律」完結済み


 も、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ