81話 女体化で、ぴちぴちギャルなのです。
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「ふぉふぉふぉ。この借用書は完璧じゃ。ワシの気持ちが変わらない限り返済は絶対じゃ」
金尾爺さんは胸を張り自慢げにそう言う。
……業突く張りの爺さんだが、書類がホンモノなんじゃ従うしかないんじゃないか?
だがそのときだった。
「ふぉふぉふぉ。……ふぉ? ……。……な、なによこれっ!」
ボフンと軽い爆発音がして爺さんが一瞬白煙に包まれた。
そして煙が晴れると爺さんが戸惑いの声を上げたのだ。
「イ、イヤ~ッ! なによこれっ!」
驚いたことに爺さんがいなくなり、そこに腰までの白髪、真紅の目をした美少女が座っていたのだ。
「……ナイスだっ! 臥留子っ!」
呂姫ちゃんがしてやったりの顔になった。
「やりましたねっ! 金尾爺さんが金尾集子ちゃんになりましたっ!」
……俺は混乱している。
だが、なんとなくだが理解できた。
これは臥留子ちゃんの神力だろう。神力で爺さんを美少女に変化させたのだ。
元がしわくちゃの爺さんだっただけに、若さと美しさに変わったので美醜のギャップが凄まじい。
「なによ~っ! ワシがぴちぴちギャルになってしまったじゃないのよ~っ!」
元:金尾爺さんはあまりの変化に戸惑いを隠せない。
更にそのときだった。
「イ、イヤ~ッ! や、止めて~っ!!」
いきなり絶叫したかと思うと、元:金尾爺さん、現:金尾集子ちゃんが両手でその豊かな胸を隠し身を捩っているのだ。
「うぐぐ……っ」
俺は思わず絶句してしまった。
それもそのはずで集子ちゃんは素っ裸になってしまっているのだ。
だから純白の肌や大きな胸、下を隠そうと身悶えしている状態だ。
「は、恥ずかしいからっ! や、止めてよ~っ!」
この全裸は恵ちゃんの仕業だろう。
ニヤニヤ笑いをしているので間違いない。
これはおそらくだが、元:爺さんを裸にしなかったのはそれでは効き目がないからだろう。
あの爺さんの性格では全裸にされても、まったく恥じることなく、むしろほれほれと見せつけるくらいはしかねない。
だが少女にされたことで羞恥心が芽生えた。
今の恥ずかしがり方を見れば、それは絶対に間違いない。
「お、お願いよっ! せめて服を着させてよっ!」
集子ちゃんは腕で巨乳を隠しながら両手を合わせて拝むと言う器用な真似をしてみせる。
「ならっ! 期限を延ばしてくださいっ。私たちでも払えるくらいにっ!」
恵ちゃんが集子ちゃんに詰め寄る。
「な、なら明後日までの期限を……、に、二百年にするわっ! それなら払えるでしょ!」
白髪を振り乱し真紅の目ですがりつくような視線を集子ちゃんは恵ちゃんに向ける。
「……それじゃダメね。それだと月に八千円以上払わなきゃダメでしょ? 私はそこまで払うつもりはないわ」
呂姫ちゃんが腕組みをして首を横に振る。
「むむむ……。な、なら、に、二千年にするっ! これならどうよっ?」
集子ちゃんは、もはや必死だ。
恥ずかしさと利益を天秤にかけているんだろうけど、羞恥の方が上回るようだ。
「それなら毎月八百円くらいか……。高校生のお小遣いでも払える金額ね。いいわよ」
呂姫ちゃんがそう判断する。そして恵ちゃんも臥留子ちゃんも頷いて同意するのであった。
――そしてである。
「……ふう。大変な目にあったわい。……まさかぴちぴちギャルにされるとは思わんかったぞ」
心底疲れたかのように大きなため息をつく金尾爺さんがそこにいた。
臥留子ちゃんが神力を解いて元の爺さんに戻したのだ。
俺は、爺さんの姿よりも、ぴちぴちギャルの方がずっとマシなんじゃないかと勝手ながら思うのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。