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80話 借金のカタなのです。

【毎日昼の12時に更新します】


 


「それがこの金尾(かねお)爺さんの神力なんですっ。……これ私たちが署名したホンモノなんですっ」




 意味がわからん。誰か説明してくれっ。




「――この爺さんの神力で、神子恵と山井臥留子と私が本当に署名して捺印してしまったのよ。いつの間にかにね」




 呂姫ちゃんの説明で合点がいった。

 ようするにやり方は限りなくインチキ臭いが借用書はホンモノだと言うことなのだろう。




「ふぉふぉふぉ。……で、肝心の支払期限じゃが、明後日までじゃな。借用書にはそうきちんと書いてあるのでな。ふぉふぉふぉ……」




 金尾(あつめ)爺さんがそう宣言した。

 酷い話もあったものである。一千四百万円を明後日までに払うなんで可能なんだろうか?



「払える訳ないじゃないですかっ。そんな一千四百万の大金なんて私たち持ってませんよっ」




 恵ちゃんがムキになって言う。

 それに呂姫ちゃんと臥留子ちゃんもウンウンと同意している。




「……ふぉふぉふぉ。……はて? 誰が一千四百万と言ったかのう? 書面をよく見れ。ホレ?」




 恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃんの三女神が揃って金尾爺さんが差し出した借用書を眺める。

 ついでに俺も眺めた。




「「「「ゲゲッ……!」」」」




 三女神と俺はそろってうめき声を上げてしまった。

 なんと明後日までの利子が付いて返済額は二千万円になっていたのだった。




 ――なんという暴利。なんという高利貸しっ!! 恐ろしい子、……いや、恐ろしい爺さん。




「払える訳ないじゃないですかっ。なんですかその利子はっ……!?」




「払えるもんですか。私は踏み倒すよっ!」




「払わなかった場合……どう……なる……?」




 恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃんが順に問う。




「ホレ。ここにも書いておるじゃろう。払えなければ――」




「――はっ? も、もしかして私の身体が目当てっ!?」




 呂姫ちゃんが両手で自分のそのたわわな胸を抱えて身を捩る。

ジジイに見事な裸体を弄ばれる未来を想像したに違いない。




「――んな訳あるかっ。ワシはとうに女体(にょたい)などに興味を失っておるわ。

 ……払えなければ、ワシの手駒として債権回収を手伝ってもらうことになるのお……」



 要するに借金取りか。

 この爺さん、()()()()()だからあっちこっちの神々に金を貸してそうだもんな。




「そ、そんなの嫌ですっ。私には子宝の使命があるんですっ」




「そんなの嫌よ。私には神子恵の邪魔をするという楽しみが……」




 恵ちゃんと呂姫ちゃんが絶望的な顔になった。




 だが、そのときだった。




「ふふふ……ふふふ……ふふふ……」




 山井臥留子ちゃんが謎の含み笑いを始めたのであった。


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「生忌物倶楽部」連載中


「夢見るように夢見たい」連載中



「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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