表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/497

08話 朝の食卓です。

【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】


この物語は毎話毎話が短いです。

それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。

……決して、私の手抜きではありません。……きっと。


 


 翌朝のことだった。

 天気は晴れ。

 窓を開けると、俺のこれからの前途を祝福してくれるかのような素晴らしい青空だった。




「さて、飯でも作るか」




 俺はキッチンに向かおうとした。

 するとすでにそこからは、まな板の上で野菜を切る音がしていた。




「おはようございます」




 恵ちゃんだった。

 エプロンが大きいようで裾が床に着きそうになっている。




「な、なにしてんだ?」




「なにしてるって、大吉さんの朝ご飯じゃありませんか?

 それとも朝食は抜き派ですか?」




「いや、そんなことはないけど……」




 俺は毎朝朝ご飯を食べる。

 じゃないと頭が回らないし昼までに空腹になってしまうからだ。




 だがそれとこれは別だ。

 なにやら押しかけ女房が勝手に台所で飯を作っているようにしか見えない。




「近頃の神様は朝食まで作ってくれるのか?」




「大吉さんは特別ですっ。

 私は大吉さんに幸せになってもらうために努力してるんですっ」




「はあ」




 それから食卓が整った。

 座卓の上には白米と味噌汁。そして卵焼きとおひたしが乗っていた。




「いただきます」




 そう言った恵ちゃんは手を合わせて箸を取った。




「……お前、今、なにを拝んだんだ? 

 手を合わせるのは仏様に対してじゃないのか?」




「細かいことはいいじゃありませんか。

 それよりせっかくの温かいご飯が冷めちゃいますよ」




 朝食は思いの外うまかった。

 俺は満足しておかわりまでしてしまった。




「どうです? 

 ちょっとした腕前でしょう」




「ああ、

 でもどこでこんな料理の腕前を覚えたんだ? 神様にも母親っているのか?」




「いませんよ。

 でもね、私だって神様の端くれです。

 これでももう何千万回、何億回もご飯を作っているんですから」




 俺は箸を止めた。




「……お前、いったい年はいくつなんだ?」




 すると恵ちゃんは、

 ハッとした表情になってそっぽを向いた。そして口笛を吹く。




「答えたくないんなら、別にいいよ」




「じゃあ、訊かないでください」




 恵ちゃんはそう答えた。

 おそらく神様は不死身と言うか、

 不老不死なんだろうから相当長生きしているに違いないと俺は思った。




「さあ、飯も食ったし。

 学校に行くか」




 すると恵ちゃんは、

 クローゼットにしまってある俺の制服を取り出してくれた。




「アイロンもちゃんとかかってます。

 もちろんワイシャツにもですよ」




「あ、ありがと」




 俺はお礼を言った。

 入学式は今日なので、制服にはまだまともに腕も通していない。

 むろんワイシャツにもだ。アイロンがけは必要ないような気がするんだが……。




「……まったく押しかけ女房だな」




 俺は小声でそう言った。

 だが内心、ちょっと嬉しかった。




「じゃあ、行ってきます」




 俺は真新しい革靴に足を入れると、

 部屋の中にいる恵ちゃんにそう言った。




「はい。でも後で会えますから、

 とりあえずいってらっしゃい」




 ……後で会う? 

 俺は若干の疑問を感じながらも意気揚々と神武寮を出たのであった。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み

「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み

「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み

「墓場でdabada」完結済み 

「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み

「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み

「空から来たりて杖を振る」完結済み

「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み

「こころのこりエンドレス」完結済み

「沈黙のシスターとその戒律」完結済み


 も、よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ