77話 やはり裏があったのです。
【毎日昼の12時に更新します】
その後も俺と新井は麦茶を堪能した。
湯上がりで喉が渇いていたからな。
だがそれ以上の誘惑には負ける訳にはいかない。
例えば、このキャバ嬢たちに指一本触れる訳にはいかないのだ。
だがしかし三女神のキャバ嬢たちも、俺たちにそれ以上の誘いをするつもりはないようで、
俺たちを触ってきたり、逆に触られるようにと腕を組んだりとの誘導とかもしなかったのだ。
……あれ? 狙いはなんだ?
それがわからない。
どう考えても、俺たち男を誘惑するためにこのような事を仕組んだはずなのに、ある一線から踏み越えてこようとしないのだ。
「……ごちそうさま。なんか眠くなってきたから、俺、寝るわ」
眠気を覚えた俺はそう告げた。
すると恵ちゃんがなぜか嬉しそうな顔になる。
「そうですかっ。じゃあ寝室へどうぞっ!」
そう言うと手を広げて俺を男子寝室へ指し示す。
俺は立ち上がると寝室へと歩き、扉を開けた。
「ぬおぅ……っ!」
思わず情けない声を上げてしまった。
それもそのはずで、ベッドの上に澤井さんと河合さんが座っていたのだ。
しかも純白の下着姿のままでだ。
更に言えば、下着も普段遣いのものじゃなくて、勝負下着とかいうセクシーなデザインのものを身につけていたのだった。
澤井さんは、振り向いた色っぽい流し目のなのだが、背を向けて身体を捻っていることから腰からお尻の柔らかなラインがなまめかしくて、見てるだけで俺の気持ちが変になりそうだ。
そして河合さんは正面から小首を傾げて微笑んで俺を見つめていることで目が合うだけでドキドキしてしまう。
しかもたわわな胸が小さめの下着から今にも溢れそうで、思わずハラハラしてしまう。
「うぐぐ……っ」
俺はドアノブに手をかけたまま固まってしまっていた。
するとそんな俺を見て、澤井さんと河合さんが妖艶な微笑を浮かべて手招きを始めたのだ。
「加茂くん。早く来て欲しいわ」
「ねえ、もう我慢できないよ」
これでその場に突進するのも男のひとつの道だろうが、俺はそれを選ばない。
クルリと方向転換すると、こちらを見てニコニコしている恵ちゃんの方へと向かうのであった。
「これはどういう事なんだ?」
「どうもこうももありませんっ。男の楽園を素直に再現しただけじゃないですかっ」
俺が尋ねると恵ちゃんがこともなげに答える。
「……はう。……痛いですっ」
俺は手刀を落とした。
そして返す刀で呂姫ちゃんと臥留子ちゃんにも落とす。
この場にいて恵ちゃんと同じ格好で同じことをしていたのだ。とてもじゃないが無関係であるはずがない。
「……お、おう。……痛い」
「……く。……痛」
恵ちゃん同様に、呂姫ちゃんも臥留子ちゃんも涙目で頭を抑えている。
「尋ねたいことがある。……どうしてこうして続けざまにやらかすんだ? いくらなんでもバレバレで逆におかしく感じるんだが?」
俺がそう質問すると、なぜか恵ちゃんは呂姫ちゃん、臥留子ちゃんと顔を見合わせるのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。