75話 嫌な予感がするのです。
次回は5月8日(月)に投稿いたします。
よろしくお願いいたします。
やがて立ち上がった臥留子ちゃんだが、視線と態度はぼんやりしていて最初の人格に戻ったようだった。
おそらくこれが臥留子ちゃんのデフォルト状態なのだろう。
なにかのスイッチが入るとキレッキレのキツめの性格になり、やがてお色気モードにチェンジするのかも知れないな……。
臥留子ちゃんがデフォルト状態になったことで、神力も解除されたようで恵ちゃんも呂姫ちゃんもジャージ姿に戻った。
もちろん澤井さん、河合さんも同様だ。
そして澤井さん、河合さんは今の今まで自分たちが全裸で百合状態になっていたことは、やっぱり全然憶えていない様子で、ケロッとした顔をしている。
「……おかしいわ? なんか私たちスゴイことをしていたような気がするのだけど……?」
「変だよね。私もそんな気がするんだど思い出せないや」
こんな感じで両名ともなんともない。
お二人には気の毒だったけど、本人たちが憶えていないのだからセーフだろう。
「……そうだったんだ。イヌのしつけも人間の子供と同じでアイコンタクトが重要なんだね。
互いに目を合わせることで、それが大事なことだとわからせることと信頼関係が生まれるなんで知らなかったよ」
……もはや新井はなんでもありのどうでもよい状態だ。
完全に無関係の話を見聞きしたと記憶しているようなのだが、それはそれで本人が納得しているので、むしろ幸せなのかも知れないな。
――そんなこんなで肝試しは終了した。
■
その後俺たちは公民館跡の建物の部屋に戻った。
今夜はすぐに風呂の順番が回ってきた。
俺は昨夜の風呂場での事件が生々しいので非常に警戒していたのだが、今回は意外にもなにも起こらずに新井と風呂でくつろいだのであった。
だが、やはりというかこのまますんなりとはいかないようだ。
「……なんか妙な感じがするんだよな」
「そう? 僕にはわからないけど」
廊下を歩いて自分たちの部屋の前に戻って来たときである。
新井にはわからないようだけど、この部屋はさっきまでとはなにか違う。
木製の扉と金属のドアノブ。
物理的にはなんの異変もないが、違和感は感覚的なものなので気持ちにおかしさを訴えてくるのだ。
なんか、こう。
開けたらヤバイ。そういう感じだった。
「どうしたの加茂くん? 部屋に入らないの?」
「いや、入るけどさ。……そうだ新井が先に入ってくれないか?」
「……別にいいけど。加茂くん、なにか変だね?」
そう言いながらも新井はドアノブを掴んでくれたのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




