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68話 たぶん幻なのです。

【毎日昼の12時に更新します】



この作品はプロットなしで書いています。

邪神登場以降すべて書きながらのアイディアで書いています。

破綻しなければいいのですが……。



 


「すごいびっくりしたわね?」

「驚いたよね?」




 澤井さんと河合さんは互いに今の出来事の感想を言い合っている。




 ……そりゃそうだろう? いきなり全裸になったんだ。驚かない方がおかしい。




 ところがそうではなかった。




「まさか辻神さんがあんなゾンビの格好で出てくるなんて」

「うん。リアルなメイクが怖かったね?」




 ……は? いつ呂姫ちゃんが登場したと言うんだ?

 ただ俺たちの服がなくなっただけじゃないか?




 聞けば、呂姫ちゃんは頭から上半身が血まみれで、全身が腐っていて、更には脳天には斧が刺さった状態で、うわぁ~と叫びながら森から飛び出して来たらしい。

 だがもちろん、そんな呂姫ちゃんの姿は俺は見ていない。




 俺は真横にいる新井にさっきの現象を尋ねてみた。




「新井、お前さっき裸になってしまったこと憶えてるか?」




「……裸? なんのこと?」




 思いっきり怪訝そうに俺を見るのだ。




「あ、すまん。なんでもない。俺の勘違いだ」




 弁明して誤魔化した。




 ……これはもちろん神力による記憶の改竄だが、呂姫ちゃんがそれをした理由を俺は理解した。




 肝試しで人をちゃんと驚かすと言うのは、実はかなり大変でめんどくさい。

 それでいてメイクや演出や演技をがんばっても怖がりじゃない人は驚いてくれないことが多いのだ。




 だから手っ取り早く悲鳴を上げさせるために服を消して全裸にさせたのに違いない。

 これなら少なくとも女生徒たちからは簡単に悲鳴を上げさせることができる。




「加茂くん。何考え事をしているのかしら?」

「加茂くん、置いていくよ」



 澤井さんと河合さんにそう言われて俺は我に返る。

 どうやら考え事をしていたことで立ち止まっていたらしい。




「ああ、ごめん。今行く」




 俺はそう言って小走りになって澤井さん、河合さん、新井に追いつくのであった。




 ■




 キャーーー!!

 うぉーーー!!




 姿が見えぬ前方から、またもや悲鳴が聞こえてきた。

 最初の悲鳴は女子のものだが、後は男子のものだ。

 だが心なしか男子の声には喜びが混じっている気がした。




「また始まったみたいだね?」

「今度はどんな仕掛けなんだろうね?」




 澤井さんと河合さんがワクワクしながら、そんなことを話している。

 俺はと言えば複雑な心境だった。




 まず怖い。

 これは怖がりの俺にとって当たり前なのだが、もうひとつ懸念がある。




 それは残る二人の女神。神子恵ちゃんと山井臥留子ちゃんの二人のことだった。

 呂姫ちゃんがこんな手法を使ったのだ。

 残る二人が似たような手段を使う可能性は非常に高い。


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み

「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み

「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み

「墓場でdabada」完結済み 

「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み

「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み

「空から来たりて杖を振る」完結済み

「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み

「こころのこりエンドレス」完結済み

「沈黙のシスターとその戒律」完結済み


 も、よろしくお願いいたします。

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