67話 いきなり服が……なのです。
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この作品はプロットなしで書いています。
邪神登場以降すべて書きながらのアイディアで書いています。
破綻しなければいいのですが……。
森は暗い。
通路はいちおう踏み石がある道で、獣道ではなく人の道なのだが、街灯が一切ない。
ただ手持ちの懐中電灯だけでは危ないので、道路工事用の赤く点滅する標柱が等間隔に並んでいることから、迷ったり道を踏み外したりはしないようになっている。
……やばいよ、まずいよ。
俺は心の中でだけ、そう呟く。
声に出したら一層怖くなりそうだし、その言葉を誰かに聞かれたくない。
そんなときだった。
キャーーー!!
うぉーーー!!
先行している一つ前の班の連中の叫び声が聞こえてきた。
恐怖で俺は思わず歩を止めてしまい、そのことで澤井さん、河合さん、新井に置いていかれそうになって思わず小走りになる。
「近いみたいね?」
「そうだね?」
女子二人はそんな声を出し合っているが、楽しそうに思える。
きっとまもなく登場するお化け役と遭遇するのが嬉しいのだろう。
俺からすれば、とんでもない話だ。
そして時は来た。
直角に曲がった石畳の道を曲がった瞬間だった。
「「キャーーー!!」」
澤井さんと河合さんの絶叫が重なった。
俺は怖くて薄目にしていたので瞬間を見なかったのだが、きっとお化け役が飛び出してきたのだろうと思った。
……だが……違った。
「うぉーーー!!」
新井の絶叫もしたので目をしっかり開けた。
するととんでもないものが見えた。
澤井さんと河合さんが、全裸になっていた……。
さっきまで着ていた学校指定のジャージだけじゃなく、上下の下着もなくなっていたのだ。
「「いやぁ~っ!!」」
二人は右手で胸を隠し、左手で下を隠していている。
河合さんはその大きな胸が手から零れ落ちそうになっているし、スレンダーの澤井さんは意外と着痩せするタイプのようで思ったよりしっかりと質感のある胸を隠している。
「やめてぇ~!!」
「どーなってんのっ!!」
そして視界の片隅でも異変が起きていた。
叫び声を上げていた新井だが、その新井も全裸になっていた。
新井は美少女二人の裸を見たから絶叫したのではない、自分も全裸なのに驚いて叫んだのだ。
そして俺は自分を見下ろす。
すると俺も決して外では出してはいけない部分が丸見えになっているのがわかった。
「な、なんなんだっ! 一体っ!」
俺は慌てふためいた。
美少女二人のラッキースケベをじっくり堪能する暇も気持ちの余裕もない。
自分の部分を両手で隠すのに精一杯だ。
だが、そこで気づいた。
先行していた班の連中もお化け役の登場に驚いたのではない。
いきなり全員が全裸になったことに驚いたのだろう。
そして更にわかった。
これは神力だ。
肝試し係には神子恵、辻神呂姫、山井臥留子と言う三人の女神がいるのだ。
絶対に彼女たちの仕業に違いない。
やがて突然に服が元に戻った。
今まで全裸だったことが嘘だったかのように、元の学校指定ジャージ姿へと澤井さんも河合さんも新井も、そして俺も戻っていたのだった……。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。