66話 肝試しが始まったのです。
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この作品はプロットなしで書いています。
邪神登場以降すべて書きながらのアイディアで書いています。
破綻しなければいいのですが……。
そして夕方になった。
夜になれば肝試しがあるので、夕食は早めに取ることになった。
そしてその後、日がとっぷりと暮れた頃、事前準備のために先に森に入った肝試し係の連中以外がグランドに集まった。
「加茂くん、……大丈夫?」
「なんか顔色悪そうだよ?」
そう声をかけてくれたのは澤井さんと河合さんの二人だ。
「だ、大丈夫だよ……」
そう答えるが正直言えば大丈夫じゃない。
怖いのだ。
俺は幽霊とかお化けとかに弱い。
心霊写真や心霊ビデオなんて見た日には今でも夜にトイレに行くのも我慢してしまう程で、当然のように怪談話なんかも一切ダメなのだ。
「じゃあ各班ごとに集まって、指示があったら順番どおり五分おきに出発よ」
ジャージ姿の若杉先生がそう俺たちクラスに告げた。
その格好なら先生も参加するのかと思ったのだが、どうやらこのグランドで待機らしい。なにかあったら駆けつけるとのことだった。
「……そろそろ僕たちも行かないと」
俺の顔色を見たのだろう。
次々と各班が順番に森へ向かって、とうとう俺たちの班になったときに新井がそう告げてきた。
「そうね。そろそろ行かないと……」
「だね。そろそろ行こうよ」
澤井さんと河合さんがそう俺と新井に告げた。
俺たちの班は全員で七人なのだが、恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃんの三人は肝試し係なので参加するのは俺と澤井さんと河合さん、そして新井の四人だけだ。
俺は正直言うと、嫌だ~と叫んで逃げ出したい気分だった。
そのくらい怖いのだが、それをやるほど馬鹿ではない。
そんなことをしたらこの一年、いや高校時代ずっと肝試しから逃げた臆病者のレッテルを貼られてしまうのはわかっているからだ。
「……だ、だな。……と、とにかく行こうか……」
正直、声が震えていたけど俺はやせ我慢でそう答えるのであった。
■
俺たち四人が森の入口にあるスタート地点に到達したときだった。
キャーーー!!
うぉーーー!!
先行した班の女子や男子の悲鳴が聞こえてきた。
俺はその声を聞いただけで膝がガクガクと震えてきてしまう。
この先にいったいどんな恐怖が待っているんだろうか……?
「さあ、行こうよ。……で、どうする?
男子が先がいいと思ったけど、加茂くんの顔色が悪いから私と澤井さんが先に行くね? 加茂くんと新井くんは後から来てくれる?」
班長の河合さんのその提案に俺と新井は従った。
そして俺たちは女子二人を先頭に男子二人がその後ろと言う陣形で森の道を歩き始めたのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




