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61話 登山です。

【毎日昼の12時に更新します】



この作品には以降のストックがありません。

そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。

すみませんが、よろしくお願いいたします。




 


 朝食はご飯に焼き鮭、サラダに味噌汁と言うスタンダードなものだった。

 だがそれに文句は言えまい。




 ここは旅館じゃなくて廃村の公民館で、作ってくれたのは朝食を担当した班、つまり同じ生徒たちなのだ。




 だから俺たちは感謝してそれを頂いた。




 ■




 その後である。

 今日は朝から登山である。

 この集落跡から登山道があり、標高四百メートルくらいの山の頂上を目指すのである。




 こここそ廃屋だが、山は未開の地ではなくて、ちゃんとした登山用の山『日向山(ひなたやま)』と呼ばれていて、日帰りのレジャーとして普通に人々に利用されている。




 そのため道の途中には簡易トイレも設置され、屋上には有人の売店もあるので登山には不安がない。




「各班でまとまって登るように。無理をせずにゆっくりとしたペースで登るように」




 若杉先生が俺たち一年二組全員にそう告げた。

 そして俺たちは登山道へと入って行ったのである。




「登山って久しぶり。……私、体力ないからちょっと不安だわ」




 見た目から細身なのがわかる澤井さんがそう言った。

 華奢で色白で守ってあげたいタイプなのだ。そう言うのもわかる。




「私は登山、好きだよ。って言うかスポーツ全般好きだけどね」




 いつも元気いっぱいでスポーツ好きな河合さんがそう言った。

 河合さんのその笑顔を見ているだけで、その発言が本当だとわかる。




「……私は、瞬発力はあるんですが持久力がないので、短距離走は得意ですけど、こうのんべんだらりんと歩き続ける山登りは苦手ですっ」




 見た目からして、小柄で体力がなさそうな恵ちゃんがうんざり顔で言う。




「私はどうでも良かったけど、神子恵が登山は苦手なら得意だと言っておこうかな。

 それが私のスタンスとして正しい」




 あくまで邪神として他の神の立ち位置とは逆にいたいのであろう邪神の呂姫ちゃんらしい発言だ。




 ちなみに新井は無言だった。

 だが笑顔なので楽しんでいるのは間違いないだろう。




 ■




 大して高くない山だ。

 出発したのが朝の早い時間だったので昼前には頂上に到着した。

 幸い脱落者も病人、怪我人もなく無事に全員がたどり着くことができた。




「いい景色ですねっ」




 恵ちゃんが眼下に広がる景色を見て感嘆の声を上げた。

 見ると左右に山が広がっており、その中腹には小さな集落があり、麓には村と呼べそうな規模の集落が固まっているのが見える。




「確かに気分はいいな」




 俺がそう言った。





「……もっと気分が良いこともできますよっ? 私は今気分が良いので、今なら邪神込みでも許しちゃいますっ」




 恵ちゃんから、なんか不穏は発言が聞こえてきた。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み

「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み

「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み

「墓場でdabada」完結済み 

「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み

「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み

「空から来たりて杖を振る」完結済み

「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み

「こころのこりエンドレス」完結済み

「沈黙のシスターとその戒律」完結済み


 も、よろしくお願いいたします。

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