60話 モーニングコーヒーの香りの中でです。
【毎日昼の12時に更新します】
この作品には以降のストックがありません。
そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。
その夜、俺は安心して男子用寝室のベッドで熟睡できることになった。
恵ちゃんと呂姫ちゃんは最後まで互いに、ぐぬぬと唸っていたが力が拮抗しているので決着がつかなかったからであった。
やれやれである。
■
朝になった。
快眠で気持ちよく俺は目が覚めた俺は共用のリビングまで出向いた。
ちなみに新井はまだ寝ていたので起こしていない。
リビングではコーヒーの良い香りが満ちていた。
すでに起きていた澤井さんと河合さんたちが用意してくれていたのだ。
「おはようございます。そしてコーヒー、ありがとうございます」
俺は返事を返し、コーヒーのお礼を言う。
「おはようございます。……いいんですよ。寝たのが早かったからかしら、早く目が覚めただけなのよ」
と、澤井さん。
「おはよう。……いいんだよ。やれる方がやればいいだけなんだから」
と、河合さん。
そうこうしていると小柄な恵ちゃんがちょこまかと動いて俺の方へとやって来た。
「大吉さん、おはようございますっ。ところで二度寝はいかがですかっ?
朝食までまだ時間があるしっ、気持ちいいと思いますよっ?」
「……二度寝かあ?
……確かに二度寝は気持ちいいけど、せっかく二人がコーヒー用意してくれてるし遠慮しようかな」
「そ、そんなことないですよっ! 二度寝は最高ですっ!」
妙に俺に二度寝を勧めてくる。
おれは恵ちゃんの背後、つまりコーヒーの準備をしている澤井さんと河合さんが手を止めて互いにあくびを繰り返す様が見えた。
そこでピンと来た。
なので手を振り上げた。手刀の構えだ。
「な、なんなんですかっ! 私、なにもしてませんよっ!」
恵ちゃんが狼狽える。
「いいや、嘘だ。お前は今、神力を使った。もしくは使い始めたはずだ」
おそらく、いや絶対に間違いなく恵ちゃんは神力で澤井さんと河合さんに俺とベッドで同衾させるように仕向けたはずだ。
そして俺はソファを見た。
するとそこにさっきまで静かに座っていた呂姫ちゃんが手足をくねらせる妙な仕草を取ろうとしている。
たぶん恵ちゃんの神力を邪魔しようとしていた証だろう。
こうして神々の行動を邪魔したがる神である邪神:呂姫ちゃん行動から恵ちゃんがなにかをやらかそうとしたのを察知できるなったのは、俺にはありがたい。
「はう。痛いですっ。……青春的にありがたい行動のはずなんですけどっ。男としての大吉さんが信じられませんっ」
手刀を落とされた恵ちゃんがうめきながら恨めしそうに言う。
「男としての理性の証だ。繁殖期の獣じゃないんだ。所、立場構わずに発情してたまるか」
そんなこんなのやり取りがあって、時間が経過したことで俺たちは朝食会場まで行くのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。