522話 スケルトン・ワンコの登場なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
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その魔物は人型ではなかった。四つ足の全身骸骨だったのである。大型犬くらいもある体格だ。その数10匹。
「イヌのスケルトンか?」
「ああっ。表示が出ましたっ。”スケルトン・ワンコ”だそうですっ」
俺は思わず崩れそうになる。イヌ型スケルトンだとはわかった。だが、その場合”スケルトン・ドッグ”じゃねえのか……?
「……なぜワンコなのか気になるわ」
「そうじゃのう。これも秀子のこだわりかのう?」
とにかくだ。
俺たちを囲む状態でスケルトン・ワンコたちは身構えている。
「「「「ウゥゥゥゥゥ……」」」」
喉のないのに唸り声まであげてだ。
そして牙は鋭い。あれに噛まれたら大ダメージを負ってしまうだろう。
「戦うしかないな。……俺の前方の5匹を拘束する。残りは3人で叩いてくれ。――拘束の投網!」
俺は右手を突き出してスキルである”拘束の投網”を展開した。すると光り輝く網が空中で広がって5匹のスケルトン・ワンコたちを包み込む。
そしてスケルトン・ワンコたちは藻掻いて網から逃げ出そうとするが、藻掻くほどに網は全身に絡まってどんどん身動きが取れなくなった。
そして俺の背後では派手な爆音が鳴り響いている。間違いなくメグミ、ロキ、アツメルコたちの攻撃だろう。
「よし、トドメだな」
俺は拘束の投網を投げるために一度アイテムボックスにしまっていた”賢者の斧”を取り出すと投網で拘束されたスケルトン・ワンコたちに向かうのであった。
「てい、てい、てい、てい、てい」
ボカン、ボカンと網の上からスケルトン・ワンコたちを斧で殴る。するとグシャッと音がして頭蓋骨が割れてスケルトン・ワンコたちは光の粒となって消滅するのであった。
「人間のスケルトンよりも強い設定なんですかねっ?」
「……ん? どうしてそう思うんだ?」
俺たちは戦いの後の恒例行事である銀貨拾いをしていた。そのときメグミがそう発言したのだ。
「スケルトン・ワンコの方がただのスケルトンよりも銀貨を多く落としているからですっ」
「なるほどね。確かに言われてみればそうね」
「ふぉふぉふぉ。戦った印象ではどっちも弱すぎて、どっちが強いかはわからんかったが、ワンコの方が銀貨が多いってことは、メグミの言う通りかのう」
そうだった。
確かに一匹当たりの銀貨の数はただのスケルトンよりもワンコの方が多いと感じたのは事実だ。
きっと数値上ではスケルトン・ワンコの方が強い設定になっているんだろうな。
そして銀貨を拾い終えた俺たちは庭を抜け、いよいよ城の玄関に到着したのであった。玄関は背の高い鉄枠木製の両開きの扉がしっかりとあった。
どうやらここは朽ちてはいなかったようだ。
「……開かないな」
俺は両手で力いっぱい扉を押した。だが扉はピクリとも動かなかった。持ち手がないので引くのではなく、押して開ける扉であるのは間違いないはず。
「ならば、壊してしまえばいいのですっ。行きます。――ほいっ!」
メグミがいきなり杖を差し向けて稲妻の魔法を放った。杖の先端に人の背丈ほどの雷光が発生し、いくつもの稲妻に分かれて扉に命中したのであった。
イヌ型スケルトンだったのです。
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