521話 王女の囚われ先の候補なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「じゃあ、行きますっ。――ほいっ!」
「私も行くわよ。――ほにゃら!」
「儂も行くぞい。――ふぉふぉふぉ」
メグミの長杖の先から雷光が発生し、発射された。その稲妻は細く枝分かれして群れをなしているスケルトンに襲いかかる。
同時にロキの錫杖からも巨大な炎弾が生じて、発射される。そしていくつもに分裂を繰り返し多数のスケルトンたちを炎上させる。
同じくアツメルコの両手から連続発射された硬貨が一撃でスケルトンの頭蓋骨を次々と粉砕する。
――バリバリバリ!
――ドッゴーンッ!
――グヮッシャ!
眩しい光と大音響のサウンドが辺りを支配した。女神たちの攻撃魔法は強力で、すさまじい勢いでスケルトンたちはその数を減らしていくのであった。
そして10分後。
周囲は静寂が支配した。地面に残るのは大量の銀貨のみである。
「終わったな」
「はいっ。平穏無事に終わりましたっ」
「さ、面倒だけど銀貨を拾いましょ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。ちと大変じゃがお金は大切じゃからのう」
そうなのだ。
お金はこの先、いつ必要になるかわからないのだ。なのですべて拾うのはお約束だ。
そして30分後。
俺たちはようやくすべての銀貨を拾い終えるのであった。
「……ふう。まったく戦いよりも拾う方が時間がかかったぞ」
「そうですねっ。お疲れ様でしたっ」
俺たちは互いに労をねぎらうのであった。
そして次は目の前に聳える古城。……いや、廃城か。3階建てと思われる石積の城を見上げる。
最上階からは2本の尖塔が伸びているのがわかる。
「ここのどこかに王女様が捕らえられているんだよな」
「そうですっ。ですが手がかりはまったくありませんっ」
「お姫様が囚われるのは物語のお約束だと高い塔よね?」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。じゃが地下牢って可能性もあるのう」
なるほど。
確かによくある物語だと高い塔……、この城の場合は尖塔の最上階の部屋の可能性がある。しかしだ。アツメルコが言うように地下牢って可能性も捨てきれない。
「まあ、……城の中に入って虱潰しに探すしかないだろうな」
「そうですねっ。順番に捜して行きましょうっ」
そして俺たちは朽ちて開きっぱなしになっている門を潜り城の敷地へと入る。するとそこには廃墟となった庭園があり、木々が伸び放題になっていた。壁の内側は蔓草にすっかり覆われている。
中央には崩れた噴水があるが、もちろん今は動いていない。
「元はさぞかし見事な庭だったのだろうな」
「ですねっ。広々として花が咲き乱れていたんだと想像できますっ」
そんなときだった。
庭園の土がぼこぼことあちこち盛り上がったのだ。
「魔物ね」
「ふぉふぉふぉ。今度はなんのアンデッドかのう」
そして俺たちを包囲するかのように魔物たちが姿を見せたのであった。
廃城に入ったのです。(`・ω・´)∩
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