52話 鉢合わせなのです。
【毎日昼の12時に更新します】
この作品には以降のストックがありません。
そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。
「お邪魔かしら?」
そう言った声が聞こえて女性はずんずんと浴場の中へと入って来た。
湯気がモウモウと立ち込めているので、顔は分からないが声でわかった。
「呂姫ちゃん?」
俺がそう問うと、なぜだか女性は一瞬たじろいだのがわかった。
「……なぜ、加茂くんがいるのっ? どうしてっ? ……驚愕だわ!」
そう言って姿を見せたのは、やはり辻神呂姫ちゃんだった。
呂姫ちゃんはバスタオルで身体を巻いて胸から下までを隠しているが、素晴らしいプロポーションだと言うことは見えていなくてもわかった。
胸の隆起が半端ない。
「そ、それは俺のセリフだよっ? ここ男湯だよっ!」
俺は湯船に首まで浸かったままそう答えたのだが、呂姫ちゃんのバスタオルが今にもはらりと落ちそうなので気が気じゃない。
「……お、おかしい。
な、なんで神力が効いてないの……。……はっ?、もしや」
俺の質問に答えずに、呂姫ちゃんが戸惑い顔を見せ周囲を警戒する。
そんなときだった。
ガラリとガラス戸が開いて、もう一人誰かが入ってきたのだ。
相変わらず湯気で顔の判別はつかないが、その小柄なシルエットで誰かはわかった。
――恵ちゃんだ。
「呂姫ちゃんっ! あなたなにやってるんですかっ!」
呂姫ちゃん同様に、やはりバスタオルで身体を巻いての登場だった。
だが見た目十三歳程度の恵ちゃんの身体は呂姫ちゃんと比べるとが気の毒に思える凹凸だ。
そしてそのままずんずんとやって来て呂姫ちゃんに向き直る。
「私がせっかく神力使ったのに、あなたが余計なことするから効力が打ち消されちゃったんですよっ! どうしてくれるんですっ!」
なかなかの剣幕で恵ちゃんは、呂姫ちゃんに詰め寄る。
だが呂姫ちゃんもやられっぱなしではない。
「神子恵。あなたこそ、どうしてくれるんですか?
加茂くんに強い神力かけてしまっているから、私の神力の効果がなくなっているじゃないですかっ? せっかく慎一と二人で混浴と思ったのに!」
……なんか神同士で良からぬことを企んでいたようだ。
それも互いに相反することをしようとしていたようで、それがうまく行かない原因が相手にあることで口喧嘩になっているのだ。
「……俺はもう出るから、二人は風呂にでも入ったらどうだ?」
俺としては、なんだかどうでも良い感じの展開なので、これ以上巻き込まれないようにと思い風呂を出ることにしたのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




