516話 襲われた馬車を発見なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「俺は構わないぞ」
「私も構いませんっ。どうぞですっ」
「私もパス。もう嫌ってくらい戦った相手だからね」
そういう訳でアツメルコの担当と決まった。
ぐんぐんと迫ってくるグレート・ベーア2匹は横並びになって両手を上げている。あの鋭い爪先でアツメルコを引き裂こうとしているのだろう。
「ふぉふぉふぉ。なら儂の攻撃じゃな。――ふぉふぉふぉ」
ふぉふぉふぉを言いながらアツメルコは指で銀貨を2枚弾く。すると一直線に飛んだコインはそれぞれのグレート・ベーアの額に命中し、見事に貫通するのであった。
「「グフォ……」」
哀れ一撃で仕留められた魔物たちは身体を光の粒に変えて消滅するのであった。
そして地面には数えるのもうんざりするような大量の銀貨がある。まあ、拾うけどな。
「見事だな。……一撃で倒せるのは正直すごいな」
これは俺の素直な感想だ。俺の場合、”賢者の斧”を使っても何度も打撃を加えなければ倒せないからな。
「銀貨を使って、銀貨を得るっ。なんか得した気分ですっ」
「そうね。1枚の銀貨でたくさんの銀貨に増えるのだから投資としては最高ね」
まあ、投資がどうかは微妙だが言いたい意味はわかる。お金を増やしているには違いないからだ。
しかしそれ以上の価値があるのもわかった。はっきり言ってアツメルコの硬貨弾きはかなり使える攻撃方法だとわかったからだ。
■
それから俺たちは旅を進めるのであった。途中、なんどか魔物と遭遇したが危なげなく倒し大量の銀貨を入手するのであった。
そんなときである。
「あそこになにか見えますよっ」
場所はなだらかな斜面の上でメグミが眼下に続く街道を指さしたのだ。すると森へと続く一本道に確かになにかがあった。
「馬車じゃないかしら?」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。馬車に見えるのう」
ロキとアツメルコが指摘した通り、言われてみれば確かに馬車に見える。黒塗り箱型の立派な馬車のようだ。
「行ってみよう」
俺がそう提案すると全員が返事をして俺たちは歩を進めるのであった。
そしてだんだん近づいて行くと様子がわかるようになる。
「大勢の人が倒れていますっ。兵隊さんでしょうかっ?」
「そうね。全身甲冑を着た兵士でしょうね」
「ふぉふぉふぉ。……動く者が誰もおらんのう」
そして俺たちは馬車に到着した。すると10名以上の兵士たちは全員死んでいるのがわかった。
ゲーム世界的に描写がグロくならないためだろうか、血溜まりなどはないがそれでも誰も動かず息をしていないのがわかる。
「……馬車の中を調べてみるか」
「そうですねっ。誰か生きているかもしれませんっ」
そして俺たちは立派な装飾がされた黒塗りの馬車の扉に手をかけるのであった。
襲撃された馬車なのです。(`・ω・´)∩
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