512話 呂姫ちゃんの部屋なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「ふぉふぉふぉ。なんの騒ぎじゃ?」
すると隣の部屋の扉が開き、集子ちゃんが顔を出した。元が年寄だからだろうか朝が得意なようで、こんな時間なのにすでにしっかりと着替えている。
今日は白いサマーニットと涼し気な素材のロングスカート姿だった。
「私もやっぱり引っ越ししたの。ゲームするのに遠いから」
呂姫ちゃんが集子ちゃんにも引っ越しの理由を話す。すると集子ちゃんは嬉しそうな笑顔になる。
「ふぉふぉふぉ。やはり近くは便利じゃからな」
「そうなのよ。……あ、そうそう。ちょっと待ってね」
そう答えると呂姫ちゃんは俺の部屋の隣部屋の扉を開けた。どうやらそこが呂姫ちゃんの新居のようだ。
「呂姫ちゃんも隣だったんですねっ」
「う~む。すると俺の部屋の両隣は両方とも女神が住んでいることになるんだな。神の人口密度が異様に高い」
そうなのだ。
両隣が女神、そして俺の部屋にも恵ちゃんが住んでいることから、この神武寮には神が三柱もいることになる。
まるで神社だな。
やや待った。
すると呂姫ちゃんが現れた。両手には紙袋が下げられている。あれは神武商店街の和菓子店のものだろう。
「引っ越しの挨拶よ。いちおう形は大事だからね」
「わあ、ありがとうございますっ。これ有名店ですよねっ」
「ふぉふぉふぉ。悪いのう」
恵ちゃんと集子ちゃんは喜んで引っ越しの挨拶の品を受け取るのであった。聞けば中身は名物の大福らしい。
すると呂姫ちゃんが更に話しかけてくる。
「どうせなら、私の部屋、見る?」
「見たいですっ。……着替えるのでちょっと待ってくださいっ」
そうなのだ。
俺と恵ちゃんは寝間着のままなのだ。なので自室へと戻り着替えをすることになった。
「……見ないでくださいねっ」
恵ちゃんが着替えを胸に抱え俺にそう言ってくる。恵ちゃんは幼い容姿なのでどう見ても小学生高学年に見えてしまう。
「見る訳ないだろう。俺にはロリコン趣味はない」
「そう言って、こっそり見るんですよねっ。知ってますよっ」
「あのなあ……」
毎度のように、そんなことを言いながらも俺たちは互いに背を向けて着替える。俺はいつも通りのTシャツのジーンズだ。
そして着替え終わった恵ちゃんを見ると今日は薄黄色のブラウスにミニスカート姿だった。まあ、これも最近よく見る姿だ。夏らしく涼しい格好だな。
そして廊下に出ると呂姫ちゃんと集子ちゃんが待っていた。そして呂姫ちゃんの案内で彼女の部屋の扉が開かれた。
「まともだな……」
「ホントですっ。意外ですっ」
「ふぉふぉふぉ。予想外じゃのう」
すると俺たち3人の感想が不満だったのか呂姫ちゃんが抗議混じりの声を出す。
「なにを想像してたのよ。私は普通のJKなのよ。奇っ怪な部屋な訳ないでしょ」
そうなのだ。
部屋の造り自体は俺と同じで6畳間の和室。その間取りの中にベッドとテレビと箪笥があった。
呂姫ちゃん自身は邪神なのでもっと禍々しいものがあると俺は予想していたし、恵ちゃんも集子ちゃんもそう思っていたようだ。
意外とまともなのです。(`・ω・´)∩
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