511話 呂姫ちゃんも引っ越しなのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
それから俺と恵ちゃんは自室へと戻った。
そして夜もすでに遅いし、これからなにかを始めるのも中途半端な時間なので寝ることにした。
いつもの通り、俺は部屋に敷いた布団。恵ちゃんは神棚の中だった。
■
翌朝である。
まだ早い時間なのに俺の部屋の扉がノックされた。
「……誰だ?」
時間を見るとまだ午前7時過ぎ。夏休みということもあって俺にとっては早朝でまだ起きている時間じゃない。
「……こんな時間に誰ですかねっ?」
神棚から畳の上に飛び降りて、ミニサイズだった身体を元通りの大きさに変化させた恵ちゃんが俺に問う。
無論、俺にもわからないので首を左右に振るのであった。
「私が出てみますっ。……どなたですかっ?」
「私よ。辻神呂姫よ」
なんと呂姫ちゃんだった。
こんな早く時間になんの用事だろうか。
「ホントに呂姫ちゃんなのですっ」
恵ちゃんが扉を開けるとTシャツにショートパンツ姿の呂姫ちゃんが廊下に立っていた。
「おはよう。……どうしたんだ? こんなに朝早く」
「おはよう。朝早くに悪いわね。実は私も引っ越ししたから報告に来たのよ」
「……は?」
俺は固まってしまった。
昨日は引っ越しするなんて言ってなかった。もしかしたら集子ちゃんの引っ越しに感化されたのだろうか?
「ええっ! 呂姫ちゃんも引っ越ししたんですかっ? 場所はどこなんですっ?」
恵ちゃんに問われると呂姫ちゃんは得意げな満面の笑みを浮かべるのであった。
「ここよ。この神武寮に空きが出たの。だから朝一で引っ越ししたのよ」
聞けば、集子ちゃんに頼んで神武寮の不動産システムを利用させてもらい、昨日学校のすぐ近くのアパートに越した者がいるのがわかったらしい。
なのですぐさまに引っ越しをしたそうだ。
「そんなに続けて空きが出るなんてあるのか?」
「私は引っ越した人のことなんて知らないわよ。……あ、私が神力で追い出したんじゃないからね」
当然突っ込まれそうなことを先回りして否定する呂姫ちゃん。
まあ、いくら邪神でも今までの付き合いからそれほどの悪事はしないことはわかっているから、そんな心配はしない。
「ああ、別に疑った訳じゃない。悪かった。……でも、どうして神武寮なんだ? 引っ越すならもっと学校に近い場所の方が便利だろ?」
「そうですねっ。私もそう思いますよっ。神武寮は結構学校から離れてますからねっ」
そうなのだ。
神武寮と神武高校は実はかなり離れている。通学するには駅まで出て電車に乗らなければならないからだ。
「私も集子と同じ理由よ。ゲームするのに加茂君の部屋まで来るのがめんどいからなのよ」
なんてことだ。
俺は驚く。
スピリット・クエストが面白いことは同意だ。だが、それだけの理由で引っ越しをする者が2人も出るとは思わなかったのだ。
集子ちゃんに続いて呂姫ちゃんもなのです。(`・ω・´)∩
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