510話 黄金の部屋なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
そして俺と恵ちゃんは集子ちゃんに案内されて隣の部屋の前へと到着した。
そこには俺の部屋と同じ造りの扉があった。
まあ、なんせ寮だからな。間取りはいっしょだろう。
「ふぉふぉふぉ。じゃあ案内するぞ」
そう言って集子ちゃんが扉を開けた。そして俺たちは中へと入る。するとまず目に入ったのは天井と壁だった。なんと金色に光っているのだ。
「なんだ? すげー眩しいぞ……」
「なんか目がチカチカしますっ」
俺と恵ちゃんは壁に近寄った。すると壁紙の正体がわかった。すべて黄金色に光る一万円札だったのだ。
「これ、全部お札なのか……!?」
「お札ですねっ。なんで金色に光っているんでしょうか……!?」
すると集子ちゃんが得意げに両手を広げて説明するのであった。
「ふぉふぉふぉ。全部本物じゃぞう。すごいもんじゃろ?」
俺は改めて天井とすべての壁を見回す。
いったい何枚くらいあるんだろうか……? ここまでお金に執着するのは高利貸しの神だからなのだろうか……。
……はっ? そ、それよりも思い出すことがあった。
「これ全部本物なんだろ? ……確か貨幣を加工したりすると罰せられるんじゃなかったか?」
そうなのだ。
俺は知識がないので罪の名前までは憶えてないが、お札や硬貨に手を加えるのは罪になるはずだ。
「ふぉふぉふぉ。それは心配ないのう。金色に光らせているのは神力じゃからのう。元の一万円札には手を加えておらんのじゃ」
「……なるほど。お金に色を塗っていないのはわかりましたっ。でもなんで金色なんでしょうかっ?」
「安らぐからじゃ」
俺と恵ちゃんは互いに顔を見合わせてしまった。そしてお互いともに絶句してしまっているのを理解した。
「……俺は眩しくて落ち着けないな」
「……私も同じ感想ですっ」
「ふぉふぉふぉ。好みの問題じゃのう。儂は綺羅びやかなお金に囲まれると心安らぐんじゃ」
なんとも、言えん。
まあ、個人の好みの問題だ。俺たちがあれこれ言う問題ではないだろう。
そこで俺は改めて部屋を見回した。
ベッドがあり、箪笥があり、テーブルがあり、テレビがある。これは普通だ。だがその配置がおかしい。
なんかそれぞれの間隔が広いのだ。俺は畳の数を数えてみることにした。
「……なんか畳が多いぞ」
「そうですねっ。……ああっ、12畳もありますよっ」
「元が6畳間だから倍の広さになっているのか!」
そうなのだ。
神武寮の部屋はすべて6畳間。なのにここの集子ちゃんの部屋だけが12畳間になっているのだ。
「これも神力なのか?」
「ふぉふぉふぉ。せっかくの機会だから部屋を広くしたのじゃ。……じゃが、いじくったのは部屋の中の空間だけじゃから広くなった分、外の壁がはみ出している訳じゃないので安心していいぞ」
集子ちゃんのなんとも神力使い放題に呆れた俺と恵ちゃんだった。
とにかく金ピカなのです。(`・ω・´)∩
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