509話 集子ちゃんの引っ越しなのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
そして階段を登って2階に3人で向かう。
その途中の踊り場でのことである。ふと気になった俺は集子ちゃんに尋ねてみた。
「集子ちゃん。部屋の鍵を受け取ったけど引っ越しはいつするんだ?」
すると集子ちゃんはその可愛らしい顔に笑みを浮かべるのであった。
「ふぉふぉふぉ。今からじゃ」
「え? 隣町に住んでるんでしょ? 引っ越し屋さんの手配とかあるんじゃないの?」
俺は当然の質問をした。
過去の話しぶりからして一人暮らしをしているのはわかる。なのでたぶんアパートとかだろう。
だとすると家具や衣服、家電とかあれこれを運ぶのにトラックが必要になるだろう。当然、運転手さんだけじゃなく神武寮の部屋まで運び入れてくれる人たちもだ。
だが、集子ちゃんは首を左右に振るのであった。
「ふぉふぉふぉ。今はまず部屋を見てからじゃ。その後はバスで往復すれば完了じゃのう」
俺は意味がわからない。
だが、話しぶりからすると今日中に終わりそうな雰囲気がするのだ。
……ま、まさか。
「大吉さん。集子ちゃんは当然、神力を使うんですよっ」
「ふぉふぉふぉ。正解じゃ」
そして3人で部屋まで向かいながら恵ちゃんと集子ちゃんが説明してくれる。
神力を使えば家具などの家財道具は異空間に収納できるとのことだった。つまり今まで住んでいた部屋とこちらを一往復すれば引っ越しは完了するというのだ。
「……反則だな。すげえチートじゃねえか……」
「まあ、これでも神ですからねっ」
「ふぉふぉふぉ。まさに神業なのじゃぞう」
そんなこんなを話していたら俺の部屋を通り越して隣の部屋の扉の前に到着した。そこは今日から集子ちゃんの部屋となる場所だ。
すると集子ちゃんはもらったばかりの鍵を使って解錠すると扉を開けて照明を点けるのであった。
「……完全に大吉さんの部屋と同じ造りですねっ。間取りがいっしょですっ」
「そりゃそうだろう。寮なんだ。みんな同じ造りなのは当たり前だろうが」
俺は当然のことを述べた。
同じ条件で同じ寮生を入れるのだ。なのでなにもかもが同じであるのが当然であろう。
それに建物も同一の部屋をたくさん作る方がコスト的にも安価で収まるだろうしな。
「ふむ。今までの部屋と広さは同じくらいじゃのう。これなら問題ない」
どうやら間取り的にはなにも問題がないようであった。つまり今までの部屋で使っていた家具類がそのまま入れられるってことだろう。
■
それから部屋を確認した集子ちゃんは今まで暮らしていた隣町の部屋に荷物を取りに戻った。俺と恵ちゃんは部屋でテレビを見ながらのんびりと過ごすのであった。
そして午後10時を過ぎた。
そろそろ寝ることも考えようとしていたら部屋の扉がノックされるのであった。
「はーいっ。今開けますっ」
恵ちゃんが扉を開けると集子ちゃんが立っていた。手には紙袋が下げられている。
「ふぉふぉふぉ。夜分遅くすまんのう。引っ越しが終わったので挨拶に来たんじゃよ」
「それはどうもご丁寧にですっ」
恵ちゃんが紙袋を受け取る。どうやら中身は乾麺の蕎麦のようだ。引っ越し祝いってことなのだろう。
どうやら集子ちゃんは意外と義理堅いようだ。
「本当に引っ越しは終わったんだ。さすがだな」
俺が驚き顔でそう伝えると集子ちゃんが自分の部屋の方角を指差すのであった。
「ふぉふぉふぉ。見てみるか?」
そう言われると見てみたい俺を恵ちゃんは同時に頷くのであった。
引っ越しは即日なのです。(`・ω・´)∩
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