508話 神力、使い放題なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「集子ちゃんは管理人さんの知識を神力で知ったのですっ。それをスマホで見ているのですっ」
「……なるほど。佐藤さんか」
納得した。
確かにこの神武寮の管理人である佐藤さんなら、入寮している全員を知っているし、退寮する人が出る情報もその理由も知り得る立場だ。
「ふぉふぉふぉ。当たりじゃのう。ならば儂が空き部屋に入るようにするかのう」
スマホを手にした集子ちゃんはポチポチと操作した。これで手続きは完了なのだろう。
佐藤さんと顔を合わせなくても済んでしまったようだ。
なんともチートなやり方だが……。
「今更だが、ここは男子寮なんだよな」
「今更ですねっ。すでに私が住んでますしっ」
「私もしょっちゅう出入りしてるわよ」
そうなのだ。
すでにこの神武寮は女人禁制ではなくなっているのだ。ただしそれは神力による効果であって、管理人の佐藤さんも他の入寮生たちも女性が住んでいたり出入りしていることを察知できないのだ。
ただし、それは彼女らが神力を使っているからだ。それができない一般女性だったら、やはり住むのはもちろん出入りも当然できない。
「じゃあ、私はそろそろ帰るわ。すっかり夜だし」
話が一段落ついたとき、呂姫ちゃんが帰ると宣言した。
「送ろうか? 夜道だし危険だろう」
俺がそう申し出た。呂姫ちゃんは金髪碧眼で巨乳の超絶美少女なのだ。夜道をひとりで歩くのは襲ってくださいと自ら宣言しているのと同じだ。
「大丈夫よ。それこそ神力があるから平気よ」
なるほど。
忘れていた訳では無いが、確かに人間では相手にならないのが女神だった。
「呂姫ちゃんは麻痺の神力も使えますし、その気になれば炎の弾も使用できますからねっ」
「……ああ、そう言えば言っていたな。ゲーム世界の魔法は実は現実世界でも使えるって言ってたっけ」
そうだった。
確かに恵ちゃんがスピリット・クエストのゲーム世界で言っていたことを思い出す。現実世界でも使えるが、威力が凄すぎて使うに使えないって話だったはず。
「そういうこと。じゃあ本当に帰るわね」
そう言って呂姫ちゃんが立ち上がり俺の部屋から出ていこうとする。すると集子ちゃんも立ち上がった。
「集子ちゃんも帰るのか?」
「ふぉふぉふぉ。いや、部屋の鍵を受け取りに管理人さんのところへ行こうと思ってのう」
「そうですねっ。さすがに鍵だけは直接受け取らないと駄目ですからねっ」
「なるほど。……じゃあ俺も着いて行く」
興味が湧いたのだ。
なので結局全員で部屋を出ることになった。恵ちゃんも見物したいと言い出したからだ。
そして俺たち4人は階段を降りて1階ロビーに到着した。
照明はもう落とされていて薄暗い。
そんな中、呂姫ちゃんは俺たちの手を振り寮の玄関扉を開けて去って行った。
「ふぉふぉふぉ。夜分にすまんのう。新しく入る金尾じゃが、部屋の鍵を受け取りたいのじゃ」
そしてである。
受付のガラス窓を開けて集子ちゃんが声を掛けると奥から佐藤さんが出てきた。ちなみに佐藤さんは規則の鬼なので女性の姿をこの神武寮で見かけたら雷が落ちる。
だが、集子ちゃんを見ても穏やかな笑みを浮かべて対応しているのだった。しっかり神力が効いているようだ。
「ああ。新しく入寮する金尾さんだね。……はい、これが部屋の鍵だよ」
「ふぉふぉふぉ。感謝じゃのう」
とくにトラブルもなく、集子ちゃんは鍵を受け取るのであった。
なんでもかんでも神力任せなのです。(`・ω・´)∩
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