505話 金尾集子ちゃんの登場なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「じゃがな……。退屈しておったのじゃ」
金尾爺さんはそれからこれまでの経緯を話し始めるのであった。
聞けば、ずっと石像の中で待機させられていたらしい。なんでもこの世界を支配しようとしている魔王の手下に騙されて囚われになって閉じ込められている設定となっていたようだ。
「ふぉふぉふぉ。……それでのう。ここのラスボス”メタル・ロケット・ウサギ”を倒さなければ出られない決まりになっておったんじゃ。なので感謝じゃのう」
話はわかった。
だが、尋ねたいことがある。それは俺だけじゃなくてメグミやロキも同様だったようだ。
「大精霊を助けたのだから、ひょっとしてゲームクリアですかっ?」
「そうよね。大精霊は創造主なのだから後はなんとかできるんでしょ?」
だが、違ったようだ。金尾爺さん、いや、大精霊メロロロンは首を重々しく左右に振る。
「違うのう。ゲームの目的はあくまで魔王の討伐じゃ。儂を助けるのはついでのイベントじゃのう」
と、いうのだ。
ま、ダンジョンを攻略して大精霊を助けたこと自体に不満はないが、それ以外になにか特典でもないのだろうか……。
「金尾爺さん、いや、大精霊メロロロンを助けたことで私たちになにかメリットはあるのですかっ?」
「そうよ。知らずに助けたとはいえ、助けたことは間違いないんだから私たちになにか有利な展開でもないと納得がいかないわ」
そうだろうな。
するとそう言われた金尾爺さんは、むむむと唸ったのだ。なにかできることがあるのか考えているんだろう。
やがて爺さんは、そうだ、と、ポンと手を叩き口を開く。
「お前さんたちの勇者パーティのメンバーになってやろうかのう。旅の間賑やかになるぞ」
するとメグミとロキがあからさまに嫌な顔を金尾爺さんに向けたのだ。
「お爺さん連れて旅なんかしたくないですっ。……第一、大精霊メロロロンて顔がバレているんですよねっ? そんな者といっしょだと目立って困りますっ」
「お爺さん連れて旅なんかしたくないわよ。……第一、あなた戦えるの? よぼよぼで足手まといなんて困るわよ」
おう。けんもほろろの返答だ。
金尾爺さんの肩を持つ訳じゃないが、ちょっと気の毒だ。
だが、そんな金尾爺さんは得意顔になって、ふぉふぉふぉと高笑いをするのであった。
「ふぉふぉふぉ。大丈夫じゃ。……まあ、見ておれ。――ひょいと!」
するとボフンと煙が立ち上り金尾爺さんの姿が一瞬で包まれた。そしてサアッと煙は晴れるとそこにはちょっと久しぶりの姿があったのだ。
「おお。金尾集子ちゃんじゃないか。この世界でも変身できるんだな」
そうなのだ。
金尾爺さんが変身をして、白髪長髪赤目純白肌のアルビノ美少女になったのだ。そして胸はかなり大きい。これは正真正銘の集子ちゃんであった。
「ふぉふぉふぉ。この姿ならば大精霊メロロロンとはバレるまい。……そして攻撃はできるぞ」
「またお札を使った魔法ですかっ? それでは魔物は倒せませんよっ」
「そうよ。第一、この世界には銀貨だけで紙幣がないんだからね。札束乱舞なんて方法は使えないわよ」
そうなのだ。
集子ちゃんが得意なのは一万円札を乱舞させる札束攻撃で、周りの人々の視界を奪う魔法が得意なのだ。
だが、紙のお金がないこのゲーム世界ではそれは通用しない。
「ふぉふぉふぉ。その辺りは大丈夫なのじゃ。……まあ、見ておれ」
そう言った集子ちゃんは貫頭衣の懐から財布らしきものを取り出すのであった。
集子ちゃんが登場したのです。(`・ω・´)∩
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