503話 大精霊の石像なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「あれっ? ……宝箱がありますよっ」
メグミが大きな声でそう言うので俺とロキが視線を向ける。すると地面の上に宝箱があった。どうやらラスボスである”メタル・ロケット・ウサギ”のドロップ品のようだ。
まあ、仮に罠だとしても俺には手に入れた罠感知解除スキルがあるからな。
なので念の為スキルを発動させた。
「……うん、罠はないな」
罠の気配はないとわかるとさっそくメグミが宝箱の蓋を開けるのであった。
するとまたしても巻物が入っているのがわかる。
「巻物ってことはスキルでしょうかっ?」
「そうじゃない? 役に立つスキルだといいわね」
そして俺が代表して手を伸ばし巻物を入手する。そして巻いてある紐をするすると解き開くのであった。
そして中身を確認する。
「おっ。これもなかなかのアイテムだな。外へと出られる転移スキルだ」
「どういうときに使うのですかっ?」
「そうね使い道が気になるわね」
興味津々の2人を見回して俺は説明を始める。
「これは、このようなダンジョンの中で使うものだ。このスキルを使うと全員を無事に外に運んでくれるものだ」
「なるほど。それは便利ですっ」
「強敵と出会って勝てそうにないときとかにいいかもね」
そうなのだ。
これは通常のスピリット・クエストでもあったスキルだ。ダンジョンの中から安全に外へと出られるものと同じである。
だが、大きな違いがあった。
それはロキが言った内容だ。通常のスピリット・クエスト、つまりスピクエでは戦闘中にはこのスキルは使用不可であった。
だが、このゲーム世界のこの転移スキルは戦闘中だろうと全員を脱出させることができるのだ。これはありがたい。これから先のダンジョンではどんな強敵が待っているのかわからないからだ。
戦ってみて、これは勝てないな、と思ったときに遠慮なくエスケープできるのは頼もしい。
「……じゃあ、脱出には今手に入れた転移スキルが使えるのがわかった。なのでもう少し調査してみるか」
「そうですねっ。なにか他にも有用なものが手に入るかもしれませんっ」
「そうね。隅々まで調べてみましょう」
そして俺たちは分散してこの神殿最奥部を調べるのであった。
「……特になにもないな」
調べ始めてから10分くらい経過したときだ。一通り調べて空振りだった俺がそう発言する。
するとメグミも同様のようで首を左右に振りながら俺のところへと戻って来る。どうやらメグミも空振りのようだ。
そんなときだった。
「……ねえ、あれ。……見覚えが……」
ロキだった。
神像の前に立っていたロキが上方を指さしている。そしてその示すものは神像、つまり精霊像の頭部だった。
先ほど見たときは暗がりだったが近づいたことで少し見えるようになっていたのだ。そしてそこには年老いた男の顔があった。頭頂部はすでに髪はないが鼻の下と顎に立派な白髭を蓄えた仙人のような爺さんの像だったのだ。
「……これがこの世界を創った大精霊メロロロンか」
「お爺さんですねっ。長く生きた精霊なんでしょうねっ」
「違うわよ。この顔に見覚えがあるって言ったの。ねえ、誰かに似ていないかしら?」
俺とメグミは互いの顔を見た。
言われてみるとどこかで見たような記憶があるのだが、どうもはっきりしない。
そんなときだった。
「……ああっ! 見覚えがあるのですっ! ……こ、これは……」
驚いた声を上げたのはメグミだ。そしてメグミとロキが顔を見合わせて同時に叫ぶのであった。
見覚えがあるらしいのです。(`・ω・´)∩
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