492話 メグミの勘違いなのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
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俺はなんのことかわからず、しばらく黙ってしまう。だがやがて口を開くのであった。
「……いったいなんの問題が発生したんだ?」
”ロケット・ラビット”は問題なく倒せていることから、このニバーンメ遺跡のダンジョンの攻略は快調だ。
俺たちの戦力的にも問題ないし、いったいなんの問題が発生したのか不明なのだ。
するとメグミが平らな胸をそらし、俺の顔に人差し指を突きつけて発言したのだ。
「私は子宝の女神ですっ。なのでダイキチが異性と近しくなるのは賛成ですっ。……だけど邪神が相手では駄目なのですっ!」
そう言い放ったのだ。
俺は思わずロキを見てしまった。そしてロキも俺を見る。なんとも複雑な顔つきをしているが、たぶん俺の顔の表情もそうだろう。
「……思い当たる節がないんだが……?」
「……そうね。私も意味がわからないわ……」
するとメグミは俺とロキを交互に指さして言う。どうやらなぜかしらないが興奮しているようで口調が荒い。
「ダイキチのロキも互いを褒め合って意識したり赤面したりと互いに好意的な反応がありすぎですっ。このままじゃ恋に発展してしまいそうなので、心配したのですっ。猛省を望みますっ」
俺とロキは互いに顔を見合わせた。
そして相手の顔を見て、思わずプーっと吹き出してしまう。
「俺はロキにお礼を言われて照れてしまっただけだ」
「私も感謝の気持ちを伝えただけよ。恋愛感情なんて、これっぽっちもないわ」
そうなのだ。俺は、そしてたぶんロキも深い考え、つまり色恋が目当てでお礼を言ったわけじゃない。純粋に仲間としての行為なのだ。それ以上はありえない。
確かにロキは誰もが一目惚れするであろう金髪碧眼の超絶美少女ではあるが、それはそれ。俺からすればやっぱり仲間のひとりに過ぎないのだ。
するとメグミは俺たちの顔を穴が空くほど見つめていたが、やがて納得顔になる。
「わかりましたっ。どうやら私の早とちりみたいですっ。すみませんでしたっ」
そう言ってメグミは頭を下げたのだ。
女であれば誰もと俺にくっつけたがるメグミだが、彼女には一定の縛りがあるようで、俺と女神との恋愛は避けたがっている感じがする。そして特に警戒している相手がロキなのだろう。ロキとの接近を避けるように言われたのは初めてじゃない。
メグミとロキはなんだかんだと言ってもいちばん仲が良い。だが、俺の相手としては絶対駄目とするなにかがあるようだ。
……まあ、と言っても俺にはその気がないし、ロキもクラスメイトの新井慎一の方が気になるようだしな。
あ、思い出した。
考えてみれば、メグミはロキだけじゃなくて、メグミ自身にも好意を持つなと俺に言っていた。
……やはり女神相手だと、なにか問題があるのだろうか……。
「……まあ、いいか。じゃあ行こう。いつまでもここにいても仕方ないしな」
「そうですねっ。私たちの目的はこのダンジョンの攻略でしたっ」
「そうね。もう残りはわずかだわ」
俺たちは気を取り直して、更に奥へと進むのであった。
■
先頭を行くメグミは地図とにらめっこしている。そして大きな角を曲がったときに振り返った。
「あと、角をひとつ曲がれば最深部ですっ」
そう宣言するのであった。それはつまりこのニバーンメ遺跡の攻略完了を意味するのであった。
そしてもちろんこのまますんなりとは行かないだろう。最深部ではラスボスが待っているはずなのだ。
盛大な勘違いだったのです。(`・ω・´)∩
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