490話 ウサギは強敵なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
俺、メグミ、ロキは仲良く背中から壁に叩きつけられた。
腹部に生じた激しい痛みと同時に呼吸が困難になり、ひどく咳き込んだ。
「……やられたな」
「……はいっ。見事にボディブローを食らってしまいましたっ」
「……痛みがひどいわね。相当なダメージを受けたってことかしら」
見るとウサギたちは先程の位置に戻っていた。そしてこちらの様子を伺うようにしきりに長い耳を動かしている。
「……どうやら、ロケットのような発射で体当たりしてくるから”ロケット・ラビット”っていうんだな」
「そうですねっ。……それにしても強烈な一撃でした」
「あれを躱すのは簡単ではないわね。なにかいい手段はないかしら?」
俺たちは身構えたまま話し合った。そしてまずはいつも通りの攻撃をしてみようとなったのだ。
「行きますっ。――ほにゃらっ!」
「行くわよ。――ほいっ!」
メグミの雷光とロキの炎弾が発射された。どちらも凄まじい勢いでウサギたちに向かって行く。
だが、すんでのところでサッと避けられた。
やはり動きは素早いようで、いついかなるときでも高速移動は可能なようだ。
「避けられちゃいましたっ」
「駄目ね。速すぎるわ」
そこで俺はあることに気がついた。あれならば対処可能なんじゃないか……?
「ロキ。麻痺の魔法はどうだ? あれならば視界に収めれば効果があるんだろ?」
「はっ! そうね。そうだったわね」
ロキはどうやら気がついていなかったようだ。まあ、うっかりの部分はメグミほどじゃないが、ロキもある。
それにロケット体当たりで動揺していたんだろうしな。忘れてしまっていたことを責めることはない。
「行くわよ。――ほいっ!」
ロキは麻痺魔法を放った。
これは見えている対象であれば全身を麻痺させて身体の自由を奪うことができるのだ。
だが、……駄目だった。
「視界から逃げたわ。なんて素早いのかしら……」
そうなのだ。
ロキの麻痺魔法が発動する瞬間にウサギたちは文字通りに脱兎のごとく左右に超高速で散ってしまったのだ。そして柱や石像の陰に隠れてしまったのだ。
だが、こちらへの攻撃意思は失っていないようで、ちらちらと頭を出して様子を伺っているのだ。
「待てよ。……避けたってことは麻痺の魔法自体は有効なんだろうな」
「そうですねっ。効かないのであれば避ける必要はありませんからねっ」
麻痺の魔法の選択自体は間違っていないようだ。問題はどうやってその魔法を命中させるかだな。
「来るぞ!」
気配は察した俺は叫んだ。すると物陰から一瞬で姿を見せたウサギたちはロケット発射して俺たちの向かって来たのだ。
「避けてくださいっ!」
「しゃがむのよ!」
俺はメグミとロキのアドバイスに従って身体を低くさせた。その真上を弾丸のようにウサギが飛び抜けて行く。あれをまともに喰らえばまたもや壁に激突だ。
見るとメグミとロキもしゃがんで躱したようだ。
「うわあ。間一髪だったな」
「なんせ、まっすぐ迷わず突撃してきますねっ」
「速いし、一瞬の判断を間違ったら大ダメージね」
俺たちはとりあえず二撃目はなんとか避けることに成功したのであった。
ウサギは魔法を避けるのです。(`・ω・´)∩
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