487話 ”動く宝箱・強”を撃破なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
そして晴れる煙と炎。
すると無傷の”動く宝箱・強”の姿が見えたのだ。
「……まるでダメージが入っていませんっ」
「防御魔法を使ったのね。あの魔法陣はそれね」
なるほど。
この宝箱は”強”だけあって防御力が高いようだ。ならばと俺は握っている”賢者の斧”を見る。
「物理攻撃だったらダメージ通るかな?」
「どうでしょう? 防御魔法って魔法と物理の両方を防ぐイメージがありますっ」
「そうね。あの防御魔法を掻い潜って内側に入れればダメージを与えられると思うわ」
なるほど。
防御魔法は物理攻撃も防ぐ可能性があるようだ。だとしたら正面から斧で攻撃しても通用しないかもしれない。
だがあの魔法陣は空中に浮かぶガラス板みたいに見えた。なのでその脇を通ってしまえば上手く接近できそうだな。
そして防御魔法がない真後ろからの攻撃ならやれそうだ。
「わかった。じゃあ俺が接近するから援護射撃よろしく」
「わかりましたっ」
「じゃあ、やるわね」
メグミとロキが再び雷光と炎弾の準備に入った。すると”動く宝箱・強”も前面に防御魔法の魔法陣を表示させるのであった。
「「発射」」
メグミの稲妻とロキの炎の弾が放たれた。すると瞬時に防御魔法に激突して爆炎が視界を奪う。
俺はそのときにはもうダッシュしていて防御魔法の脇をすり抜けていた。
そして”動く宝箱・強”の背後へと回る。
そこで”賢者の斧”の魔石のスイッチを押す。するとゴウッと刃に炎がまとわりつく。
「てい、てい、てい」
俺は力の限り斧を振り下ろした。手応えは十分だ。そして三度目の攻撃を加えると”動く宝箱・強”はぐったりとなり、足が消えて地面に落ちるのであった。
「ダイキチ、見事なのですっ」
「やったわね。”動く宝箱・強”を倒したわ」
メグミとロキが俺を称賛しながら近づいてくる。そして宝箱の蓋に手をかける。
「だがな、俺はどうも宝箱の罠を心配してしまうんだがな」
「きっと大丈夫ですっ。今まで罠なんてありませんでしたしっ」
「まだ解除できる手段がないのだから、ゲームバランス的に先に罠解除のアイテムが手に入るはずよ。そうでないとアンフェアだもの」
なるほど。
メグミの行き当たりばったりはどうでもいいとして、ロキの理屈は理解できる。確かにゲーム世界はフェアが必須だ。
罠の解除ができる手段が先に提示されてからでないと、罠の存在はフェアではないからな。
俺はそれに納得することにした。
なので、俺たちは互いの顔を見合わせて頷くと”動く宝箱・強”の蓋を3人で一気に開けるのであった。
「……なにか入ってるぞ」
「巻物ですねっ。……また地図ってことはないですよねっ?」
「まさか、ひとつあればいいアイテムを2つも出すなんてありえないわ」
そして俺が代表して宝箱の中に入っていた巻物を手に取る。そして巻かれている紐をくるくると外して中身を開封するのであった。
防御魔法を掻い潜ったのです。(`・ω・´)∩
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