479話 マミーと遭遇なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「お。セーブポイントがあったぞ。まずはセーブするか」
まだ地下1階の入口付近。角を右に曲がると青白く半透明な柱が見えた。もうこの世界ですでに見慣れているセーブポイントだ。
「ちょっと意地悪な位置にありますねっ」
「そうね。ここじゃわかりにくいわよね」
そうなのだ。
だいたいこの手のゲームでは大事な場所に入る寸前にセーブポイントが存在する。今回の場合で言えば遺跡の入口にあるはずなのだ。
「まあ、上級者向けのダンジョンという設定でセーブポイントの位置を分かりづらくしているのかもな」
こういうことはあるのだ。
セーブポイントが見つからないだけで、そのダンジョンの難易度が心理的に向上してしまう作戦なのだ。
おそらくたぶん秀子ちゃんはそれを狙ったんだろうな。
そして俺たちはセーブをした。もちろんまだプレイは終了しない。最低でもこのダンジョンをある程度攻略してから終わらそうと思っている。
そのことを2人に伝えるとメグミもロキも同意してくれたのであった。
「もちろんですっ。いっそすべてを攻略してしまってもいいくらいですっ」
「何階層あるのかわからないのよ。さすがに最下層までとは断言できないわね」
「そうなんだよな。それもこれも前情報がない上に地図までないからなんだよな」
そうなのだ。
視界の隅にウィンドウが開いて地図が参照できるとかがあれば、現在地がわかるから迷うこともないし、ウィンドウを切り替えれば最下層が何階かもわかるのだ。
「まあ、ないものねだりしても仕方ないな」
「そうですねっ。進みましょう」
「……ちょっと待って。なにか現れたわよ」
ロキが前方を指差す。
すると両手を掲げた姿勢でこちらに向かってくる白い人型の魔物が4匹現れたのだ。
腕も足もパンパンに太く、胸板も分厚い肉体派の体型だ。
「マミーって表示されているな。まあ、ミイラの魔物だろうな」
「……ここって神殿ですよねっ? なんでそんな不浄な者がいるんでしょうかっ?」
「不浄な魔のモノに占領されているって設定じゃないの? RPGゲームでは定番の設定よ」
秀子ちゃんには全然及ばないが、それでもロキはある程度のゲーム好きらしい。なので有名なRPGゲームはいくつかやり込んだ経験があるそうだ。なのでこのくらいの知識はある。
「「「「ウラァァァァァ~……」」」」
不気味な声を発してマミーたちの群れは俺たちに近づいて来る。もちろんミイラなので全身を真っ白な包帯で覆われている。
それが両手を突き出しながら俺たちを捕らえようと接近している訳だ。
「よく燃えそうですねっ。ロキ、お願いできますかっ」
「わかったわ。じゃあ私がやるわね。――ほいっ」
ロキが脱力しそうな雑な呪文を唱えると錫杖の先端に巨大な火球が現れる。そしてそれが4つの分かれてそれぞれのマミーに激突する。
辺りにはガガーンッ、ガガーンッと激しい音が響き渡り、一瞬にしてマミーたちは炎に包まれて焼かれ、光の粒となり石床に銀貨を落とすのであった。
「……それにしても変なのですっ……」
俺たちは大量にばらまかれた銀貨を拾っている。するとメグミが気になることを口にしたのだ。
「気になる、ってなんだ?」
「マミーの中身ってミイラですよねっ。だったらガリガリに痩せているはずなのに、なんであんなマッチョな体型だったんでしょうかっ」
なるほど。
言われてみれば先程倒したマミーたちはまるでプロレスラーかと思うほど全身マッチョな体型だった。
ミイラなのだから枯れ木のような体型じゃないと確かに変だ。
「演出じゃないかしら? 強そうな方が魔物っぽいでしょ?」
ロキがそう言う。
う~む。言われてみるとそんなところかもしれない。見た目弱そうだと脅威を感じないもんな。
「なるほどですっ。納得しましたっ」
どうやら俺だけでなく、メグミもロキの意見に賛成したようであった。
マッチョなマミーなのです。(`・ω・´)∩
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