478話 遺跡に到着なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
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そしてそれからしばらく歩き続けた頃だった。
「どうやら山頂に遺跡はあるみたいですねっ。……って、ああっ、見えてきましたっ」
メグミが指差す山頂に石造りの巨大なギリシャ神殿のようなものが見えたのだ。
山頂までまだ距離があるのに、ここからでも十分に大きさがわかる。三角の屋根を持つ円柱がいくつも立ち並ぶ白亜の神殿だった。
ちなみにスピクエの世界では精霊が世界を治めている。そのことから信仰の対象は精霊なので神殿ではなく精霊殿と言うのが正しいと思うのだが、わかりやすいことからかNPCたちも含めて神殿と呼んでいる。
なので俺たちはも神殿と呼称している訳だ。
「意外とデカいな」
「そうねっ。ちょっとしたマンション並はあるわね」
目の前に来て見上げると、俺たちはこの神殿の大きさが改めてわかった。そしてよく見てみる。
入口に扉はなく、何十本もの見上げる太い石造りの円柱が天井を支えているだだっ広いロビーがある。
ロビーの床も大理石のような石造りで歩くとコツンコツンと足音が響く。
「なにもありませんねっ」
「扉も見当たらないわ。どこへ行けばいいのかしら?」
「まあ、まずはまっすぐ奥まで行ってみるか」
俺の提案に2人の女神たちは頷いた。そして俺を先頭に足音を響かせながらロビーを奥へ奥へと進んで行く。
ロビーは広く100メートルくらいはあっただろうか。そしてそれが現れた。
「ああっ。階段がありましたっ」
「地下へ行く階段だったのね。どおりで入口から見えないはずよ」
そうなのだ。
奥にあったのは地下へ降りる下り階段だったのだ。もちろん白亜の石造りで地下に降りるのだが、天井と壁が薄ぼんやりと光っているので照明の必要はなさそうだ。
「降りてみるか」
「そうですねっ。行くとこまで行きましょうっ」
「ついでにお宝もゲットね」
俺たちは石段を一段一段ゆっくりと降りて行く。足音が反響して独特の緊張感が漂う。
「ここから先はダンジョンだ。念の為、戦闘の準備をしておいてくれ」
「了解ですっ。長杖を用意しますねっ」
「じゃあ、私も錫杖を出すわね」
ダンジョンは魔物と出会う確率が一気に上がる。なので2人の女神はそれぞれの武器をアイテムボックスから取り出して右手で握る。
当然、俺も”賢者の斧”を用意した。
そして地下1階に到着した。
天井も壁も床も見事な石造りだ。隙間なく積み上げられた石組みには間に紙1枚も入らないほどぎっちりとなっている。
「1本道かと思ったら、違うんですねっ」
「そうね、あちこち枝道があるわ」
「まあ、ダンジョンだからな」
そうなのだ。
2人が言うように道は左右に枝分かれしていて、それぞれ更に奥へと伸びているようだが、曲がり角が直角なので見通しはまったくないのだ。
「どこから行きますかっ?」
「そうね。下手に歩き回ると迷いそうね」
「こういうのはセオリーがある。まずはすべて右側へと進んで行こう」
地図がないので、手当たり次第の適当に歩くと堂々巡りとなってしまい、結局道に迷う。なのですべて右側からと手順を決めていけばロスすることなく周ることができるのだ。
……まあ、途中で地図が手に入れば話は別なんだがな。
石造りの神殿に到着したのです。(`・ω・´)∩
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