474話 旅の再開。装備のあれこれなのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
俺はPCを立ち上げた。そして起動が終了するとスピリット・クエストのアイコンをクリックする。
するとやはり背後の机にある謎卵が紫色に明滅して罅が入り、やがて紫色の玉が現れて光の洪水が部屋を包むのであった。
――そして遠くなる意識……。
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「……キチ。……イキチ。……ダイキチ……」
メグミの声が聞こえていた。
俺はゆっくりと目を開ける。するとそこには町娘姿のメグミがいた。そしてその隣にはひだの多い純白の貫頭衣を身に着けたロキの姿もあった。
「良かったですっ。気がついたのですねっ」
「なかなか目を覚まさないから退屈しちゃったわよ」
「ああ、大丈夫だ。すまない。ありがとう」
話を聞くと気を失っていたのは俺だけらしい。メグミとロキは仕方がないので目覚めるまで俺を待っていたとのことだ。
俺は辺りを見回す。
するとここは前回セーブしたイチバーンメの村の門近くに設置してある半透明で青白く光るセーブポイントの柱の前だった。
そして俺は立ち上がる。
ここから旅の再開だ。そしてあることに気がついた。それはメグミが手にしているモノだった。
「あれ? メグミは魔法使いの杖なんて持ってたっけ?」
そうなのだ。
ロキは金属製でピカピカ光る高価そうな錫杖を持っているのは憶えている。だがメグミは手ぶらだったはずだ。
「前に見せましたよっ。これはお母ちゃんからもらったものなのですっ」
メグミによるとそれはこの世界の母親から渡された魔法使いの長杖で木製でゴツゴツしたものだ。
「なくても神力、……いえ、魔法は使えますのでアイテムボックスに仕舞っていたのですっ」
言われてみると、だんだん思い出してきた。そう言えば”始まりの村”で成人の儀式を終えた翌朝に集まったときに、メグミが手に持っていた気がする。
「そうだったな。……すっかり忘れていた。なくても魔法が使えるけど、あった方が見た目がそれらしくなるから、そのうち手に入れて装備してもらおうと思ってたんだ」
「そうだったんですねっ。……この杖、鑑定したら魔法の威力がちょろっと上がるみたいだったので、やっぱり持ち歩こうと思ったんですっ」
「うん、そうだな。やっぱり持っている方が魔法使いっぽい。……と、なるとそのうち三角帽子とかローブとかも揃えないとな」
「そうなんですかっ。それは嬉しいです。……ちなみにロキもその錫杖があると魔法の威力が上がるのですかっ?」
会話を振られたことから、それまで黙っていたロキが錫杖を掲げる。
「そうよ。……私もなくても魔法は使えるけど、あった方がいいみたい。ちなみに私の装備はこのままで大丈夫よ。精霊の使徒の正装だから最強装備になるわ」
なるほど。
ロキは最初から最強装備らしい。だったら下手に装備を変更すると攻撃や防御の性能が下がる可能性が高い。
そのことから、俺とメグミはこれからの旅で質の良い装備品を見つけたら交換していくが、ロキはティアラとロザリオ、そして貫頭衣と錫杖のままでいいってことだな。
「じゃあ、旅を再開するか」
「そうですねっ。行きましょうっ」
「ええ。目指すは王都ね」
そして俺とメグミ、ロキの3人は街道を王都に向けて進むのであった。
最初から最強装備がロキなのです。(`・ω・´)∩
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