473話 元の姿に戻れたのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
やがて目がすっかり覚めた俺は、目の前にいる恵ちゃんと臥留子ちゃんに問いかける。
だが、問わなくても答えはわかった。2人とも安心した顔つきだったからだ。
「……で、俺は元に戻れたのか?」
「はいっ。大丈夫ですっ」
「……どこから見ても……加茂大吉……」
鏡がないので自分での確認はできないのだが髪の毛は短くなっているし、胸元もすっきりしている。
どうやら間違いなく大吉に戻れたようだ。
「……ん? なんだこれ?」
俺はTシャツの中に異物を感じた。なにかの布がもつれて固まっているのだ。
ああ、そうか、そういうことか。
「女の子の下着なのですっ。もう不要ですねっ」
「そうだな。これは恵ちゃんに返すでいいのか?」
「はいっ。私が預かりますっ。……また使う機会があるかもしれませんからっ」
嫌なフラグは立てんでほしい。俺はそう思いながらも、Tシャツを脱ぎ、ブラを取り出して恵ちゃんに渡すのであった。
そして再びTシャツを身につける。
いちおう美少女が2人もいるのだ。上半身とはいえ裸のままはマズイだろう。
「それと、……臥留子ちゃん、ありがとう。お陰で助かったよ」
「……うん。いい。……私も珍しい……経験を……した……」
臥留子ちゃんがそういって頷いた。
すると恵ちゃんがなにかを思い出したようで口を開く。
「そう言えばなんですがっ、私たちこれから神武寮に戻ってゲームをするつもりなんですっ。良かったら臥留子ちゃんもどうですかっ?」
そして恵ちゃんは説明を始めた。
ゲームとはもちろんスピリット・クエストの件だ。そして謎の卵のことも話す。
臥留子ちゃんは卵に興味を持って、いくつか質問をしていたが、結果から言えば話は断った。
どうやら今日はこれから用事があるらしいのだ。
仕方ないので俺たちは臥留子に辞去したのであった。
■
そして俺たちは神武寮へと戻った。
しばらくすると邪神の辻神呂姫ちゃんが訪ねてきた。それはもちろんスピクエをプレイするつもりだったから誘ったのだ。
呂姫ちゃんはちょうど暇だったようで、ホイホイとやって来たって感じだ。
「卵の犯人がわかりましたっ。どうやら秀子ちゃんみたいですっ」
恵ちゃんが経緯を説明した。
すると呂姫ちゃんは納得した表情になる。
「――言えれてみればそうね。確かに秀子が犯人だと思えるわね。……目的はゲームをリアルに楽しんでもらうためかしら?」
「でも、それだと秀子ちゃん自身にとって、なにか楽しみはあるのか? ゲームの楽しみなんて実際にプレイしてなんぼのもんだぞ?」
「それはそうね。……でも、なにか仕掛けているとは思うのよ。サプライズ的に登場するとか」
「あ、それはあり得ますねっ。なんと言っても秀子ちゃんですからねっ」
確かにそれはあり得そうだ。ゲーム好きの秀子ちゃんがただ他人がゲームしているのを見ているだけとは思えないからな。
俺たちは机の上に鎮座する白地に青い稲妻模様が描かれた謎卵を見る。卵は今はなんの変化もない。
だが、スピクエを起動させれば反応があるはずだ。
そしてそれはその通りだったのだ。
やっと男に戻れたのです。(`・ω・´)∩
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