471話 霊木の実を発見したのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
俺が担当したのは東の方角だった。
こちらは立木が密集していて、もはや森だな。
そこで俺は考える。
臥留子ちゃんは大きな木の側に植えたと言っていた。その口ぶりからすると植えたのはそれほど大きな木じゃないんだろう。たぶん俺の背丈より高いことはないと思う。
なので、屹立する木々の周りを見ながら探すのであった。
霊木は木自体に目立った特徴はないそうだ。ただ木の実が青白く光っているらしいので、それほど探すのに手間はかからないだろう。
だが、なかなか見つからない。
まあ、臥留子ちゃんの口ぶりから察するに植えたのは1本だけだろうから、すぐには見つからないだろうな。
そしてしばらくしたときだった。
木の向こうに恵ちゃんが見えたのだ。恵ちゃんは南の方角に向かったはずだ。
「あれっ? 出会っちゃいましたねっ」
「南側はもう探し終わったのか?」
「そうですっ。ぐるりと一周しましたっ」
なるほど。
どうやら俺を探していた訳ではなくて、自分の担当範囲を探し終えて東側に来てしまったようだ。
「……手ぶらってことは見つからず、か……」
「そうですねっ。大吉さんも同じなんですねっ」
俺は確認の意味を含めて霊木の特徴を再度尋ねた。見落としがあったら大変だからだ。
「そうですっ。霊木はそれほど大きくないですよっ」
どうやら俺の予想は当たっていたようで、高くても俺の背丈くらいのようだ。ならば俺の見落としはない。
「すると、別の方角を探すか……」
俺は林を見回してそう呟く。すると恵ちゃんも背伸びをして辺りを見回すのであった。
「確か臥留子ちゃんは北側に行きましたっ」
「ってことは残るは西側か。いっしょに探すか?」
「いいですよっ」
と、いうことで俺と恵ちゃんは林の西側に向かった。途中の木々も再度チェックして霊木かどうかを確かめる。
そして西側へと足を踏み入れるのであった。
それから10分ほど経過した頃だ。
周りの木々と比べてかなり太い幹の樹木があったのだ。
「大きいな。大樹っていうんだろうな」
「そうですねっ。あれはクスノキだと思いますっ。行ってみましょうかっ」
興味が湧いた俺と恵ちゃんはクスノキの巨木に向かった。
「すごい太さだな。手を伸ばした大人4人くらいあるぞ」
「そうですねっ。樹高もすごいですっ。この林でいちばんの巨樹ですねっ」
そうだった。
見上げるとそのクスノキは周りの木々を従えるかのように抜きん出て背が高かったのだ。おそらく20メートルはあるんじゃないだろうか。
そんなときだった。
「ああっ! ありましたっ! 霊木ですっ」
恵ちゃんがクスノキの脇に生えている俺の背丈ほどの木を指さしたのだ。俺と恵ちゃんは駆け足で近寄った。
すると枝には確かに実がたくさんなっていて、青白く光っている。その大きさはイチゴくらいだろう。
「これが霊木か。……確かに大きな木の側に植えたってのは間違ってなかったな」
「そうですねっ。この林でいちばん大きな木の脇だったんですねっ」
「ところでこの実をどうするんだ?」
「使い方は知りませんっ。臥留子ちゃんに持って行って渡せばいいんじゃないでしょうかっ」
「わかった。そうしよう。……でもいくつ持って行けばいいんだろう?」
「ひとつでいいと思いますが、念の為4つくらい持って行きましょうっ」
と、いうことで俺と恵ちゃんはひとり2個ずつ霊木の実をもいだ。そして臥留子ちゃんがいると思われる林の北側に向かうのであった。
霊木の実が無事に見つかったのです。
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