47話 凡の凡、平凡なのが良いのです。
【毎日昼の12時に更新します】
この作品には以降のストックがありません。
そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。
「え? ……同じ班の新井慎一だけど?」
すると呂姫ちゃんは興奮を隠しきれない様子で新井の両肩を揺さぶる。
「あなたは凡。まさに凡。こんな平凡な人物がいるなんてっ! 驚愕よ!」
青い目を爛々と輝かせ口角泡を飛ばす勢いで呂姫ちゃんはそう言った。
「……なんか褒められているのかな? だったら嬉しいけど」
新井は戸惑いを隠せない様子でポツリと言う。
「私は感激したわ。長く生きてきたけどこういう凡な男性とは初めて。
……どうしましょう? ……平常心を保てないわ」
呂姫ちゃんはなぜかわからんがいたく感激している。
そして新井はなんのことかわからなくて目を白黒させている状態だ。
「……なあ、いったいなにが起こってるんだ?」
俺は小声で恵ちゃんに問いかけた。
「……私もよくはわかりませんが、
過去に出会ったこともない規格外の平凡さを持つ新井さんの登場に興奮しているようです……」
「新井ってそこまで凄いのか? 俺にはわからんが……」
「違いますっ。凄くないことが凄いみたいですっ」
俺には理解できないが、恵ちゃんにもよくわかっていない様子だった。
「……それよりもだが、俺には気になることがあるんだが……」
「なんでしょうっ?」
「アレは……。……呂姫ちゃんのことなんだがアレはいったいどうしてここに登場したんだ?
神様だと言うのはわかったが唐突すぎる登場だったんだが……」
するとまたしても恵ちゃんは苦虫顔になった。
「おそらく私が具現化していた気配をなんとなく掴んでいたところに、私が呂姫ちゃんの名前を口にしてしまったんで、喜び勇んで登場しちゃったんじゃないかと思いますっ」
「そうなのか?」
「はい。……自分で言うのも業腹なんですが、私、呂姫ちゃんに好かれているんですっ」
「……からかいがいがあるって感じがするな」
「業腹ですっ。でも、そうなんですっ」
俺は子宝の神である人間名:神子恵と邪神である人間名:辻神呂姫の関係をなんとなく理解したのであった。
■
そして俺たちは貸切バスへと乗った。
ここから研修施設とされる廃村まで山道を二時間以上乗り続けると若杉先生から説明があった。
車中では俺と恵ちゃんは隣の席で、澤井さんと河合さんも隣同士、そしてなぜか新井は呂姫ちゃんと隣り合わせの席になっていた。
俺の座っている位置からは後頭部しか見えないが、新井は超絶美少女呂姫ちゃんに質問攻めにあっていて、女慣れしてない新井はしきりに額の汗を拭いながらしどろもどろに答えているのだが、そのひとつひとつの返答が呂姫ちゃんを満足させる内容のように見えた。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。