469話 疑似神力は火事場の……なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
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どうにも観察されているようだ。
その証拠に頭の天辺からつま先までジロジロと舐めるように見回されたからだ。
「……えっと。なにか問題でもあるのか?」
俺はここには恵ちゃんと臥留子ちゃんしかいないことから男言葉でそう尋ねる。
すると臥留子ちゃんが、今度はじっと俺の目を見つめてきた。
俺はその冷ややかに感じる視線にたじろいでしまい、思わず身を引いてしまう。
「……女体化が異常」
「えっ。大吉さんの身体、なにかおかしいんですかっ?」
恵ちゃんが慌てて俺を見る。
俺はと言えば自分の身体を見下ろして胸や手足を確認するが、そこにあるのはグラマラスなのにほっそりと伸びた肢体を持つナイスバディのダイキチーナがいるだけだ。……なので、なにが異常なのかさっぱりわからない。
「……神子恵の……神力と違う。……なぜ加茂大吉は……ダイキチーナになった……?
「……あっ。ごめんなさいっ、言い忘れていましたっ。今回、大吉さんがダイキチーナになったのは大吉さんが原因なのですっ」
そこで恵ちゃんは説明を始めた。
恵ちゃんはあれこれ遠回りで話していたのだが、簡単に言ってしまえば恵ちゃんの暴走で従姉妹から色仕掛けをされて、気がついたらダイキチーナに変身してしまったことに過ぎない。
だが、問題は大きい。
それはもちろん神でもなんでもない平凡な人間の俺が神力を使えてしまったことだ。
「……疑似神力」
それまで黙って話を聞いていた臥留子ちゃんがそう呟いた。
俺にはなんのことか、さっぱりわからないが恵ちゃんを見ると、むむむと唸り声を上げていた。
「……疑似神力だったんですかっ。確かに過去に例がないとは言えませんけどっ」
俺にはやっぱりわからない。2人の会話についていけないのだ。なので説明を求めた。
「いったい、なんのことなんだ? 俺にもわかるように説明してくれ」
すると恵ちゃんと臥留子ちゃんは顔を見合わす。そして互いに目配せしてなにかが決まったようだ。
どうやらどちらの順番で説明するかで相談していたらしい。
「……まず、私からですっ。大前提として人間には神力が使えません。神でないのだから当たり前のことなのですっ」
「……たまに例外がある」
「そうなのですっ。たまに、……昔から何百人かにひとりくらい神力が使えちゃった人間もいるのですっ」
「……緊急時の……強烈な……願い……」
「……それが俺なのか……?」
そうなのだ。
俺は彩花ちゃんと沙也加ちゃんに迫られて万事休す状態になったときに、この事態を打破できないかと必死で思ったのだ。……いや、願ったのだ。
そしてこの姿をダイキチーナに変えてしまえば回避できるに違いないと思いついたときに、なぜか女体化してしまったのだ。
「火事場のクソ力と言えばわかりますかっ? それと同じ状態だったのですっ」
「……ホントに……稀な……現象。……いつでも使える訳じゃない……」
なるほど。
火事場のクソ力か。それなら理解できる。
あのときは本当に本気だったからな。……誘惑に負けて従姉妹2人に手なんて出したら一生後悔すると考えていたからな。
俺は恵ちゃんと臥留子ちゃんの説明に納得するのであった。
火事場のクソ力だったのです。(`・ω・´)∩
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