467話 謎の問い合わせなのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
(――秀子ちゃん。そんなに活躍しているのに、どうしてプロゲーマーとかにならないんですかっ? 秀子ちゃんの腕前ならばスカウトされてもおかしくないと思いますっ)
すると念話が届いたようで秀子ちゃんが恵ちゃんと俺を見た。そして無言のままだがじっとこちらを見つめ続ける。
(面倒。だから大会関係者とかプロ選手とかスカウトとか取材とかの者たちの記憶を改竄している)
なるほど。
ゲームは好きだが職業にするつもりまではないようだ。プロになれば稼げるとは思うが、それなり、……いや、それ以上のしがらみもあるだろうしな。
元々、神様で遊び感覚で人間の世界に来ているだけなのだ。それ以上の関わりは避けたいのだろう。
それから俺たちはゲームの話題で盛り上がった。気がつけば2時間くらい経過してたのだが、そんなこと全然気づかないくらい、あっという間に時間が過ぎていったのだ。
そしてそろそろお開きの雰囲気が出てきた頃だ。秀子ちゃんが念話で俺と恵ちゃんに問いかけてきたのだ。
(……気になっていた。どうして加茂大吉は今日はダイキチーナになってる?)
(ああ、そりゃ気になるか)
(これには理由があるんです)
それから俺と恵ちゃんは念話で説明した。
恵ちゃんの暴走で従姉妹から色仕掛けをされて、気がついたらダイキチーナに変身してしまったことをだ。
(……で、俺は今、隣町の実家に帰っている状態だから、元に戻れないんだ)
(臥留子ちゃんは東京にいますからねっ。ここまで来てもらうのも無理なので神武寮に戻ったらお願いしようとしているんですっ)
(理解した。……私が手伝ってもいいけど、私と神子恵だけじゃ元の姿には戻せない)
秀子ちゃんは俺を元の加茂大吉に戻してくれる気持ちはあるようだ。その気持ちはありがたい。だがやはり2人の女神だけの合体神力では無理のようだった。
ならば当初の予定通り、俺は東京に戻ってから臥留子ちゃんに頼むしかないようだ。
それから秀子ちゃんと別れ、俺と恵ちゃん、彩花ちゃん、沙也加ちゃんは電車に乗って帰宅したのであった。
その日もゲームをしたりと楽しんだ。
そして翌日には従姉妹たちは帰宅することになり、ならばと俺と恵ちゃんも東京に戻ることにしたのであった。
■
翌日。俺と恵ちゃんは都内に戻る電車に乗っていた。
車内はそれなりに混んでいたので俺たちは手すりに掴まって立っている。恵ちゃんは背が低いのだが、なんとか手すりに手が届いているので電車の揺れも問題ない。
そんなときだった。
「あ。……なんか連絡が来たようです」
マナーモードになっていた恵ちゃんのスマホがブーブーと鳴ったのだ。なので恵ちゃんはバッグからスマホを取り出してSNSの確認を始める。
「……秀子ちゃんからですっ。……『昨日訊くの忘れてた。スピクエ、楽しんでる?』ってだけ書かれてますけど、スピクエってなんでしたっけっ?」
「スピクエはあれだ。スピリット・クエストの略だ。俺たちが部屋でプレイしているRPGのことだ。……ことよ」
危ない危ない。俺の今の姿はダイキチーナだった。男言葉にならないよう言葉遣いに気をつけないといけない。
「あ、そういえばそんな名前でしたねっ? でも、スピクエを楽しんでいるかって意味がわかりませんっ」
「そう言えば、俺、……私たちがスピクエをプレイしているって話はしなかったわよね。……なんで知っているんだろう? 呂姫ちゃんが話をしたのかな?」
「あの邪神はそんなことを言い触らしませんよっ。どちらかと言えば秘密主義なのですっ。余計なことは自分から周りには言わない性格なのですっ」
互いに仲が悪いと言い合っている恵ちゃんと呂姫ちゃんだが、俺には互いの性格までわかり合っている深い仲としか思えないんだがな……。
まあ、余計なことを言って拗れるのも困るので黙っていることにした。
それはそれとして、じゃあなんで秀子ちゃんは俺たちがスピクエをプレイしていることを知っているんだろう? それに楽しんでいるってどういう意味なんだろうか?
秀子ちゃんからの謎の問い合わせなのです。(`・ω・´)∩
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