465話 両手投げ可能は神力だったのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
(……マ、マズい!)
俺はとっさに自分を見下ろす。すると青色のTシャツはすっかり破けてしまっていた。元々左側はなくなっていたので、右側でかろうじて保っていたのだがそれも駄目になってしまったのだ。
なので、俺の上半身は今は青系のブラだけになってしまったのだ。しかもダイキチーナは巨乳なので上半分でたわわな谷間が丸見え状態だ。
それが身体の動きに合わせて上下にたゆんたゆんと揺れてしまう。
「うぉー……!」
「あと1枚だぁ~!」
「キター!」
「……美し過ぎるだろ」
「……美乳だ。美乳過ぎる」
ギャラリーの男たちの興奮声がここまで響いてくる。
まあ、俺、つまりダイキチーナの格好を見れば気持ちはわかる。上半身はブラだけ、下はお尻がほぼ見えてしまっている状態なのだ。
サラサラ金髪ロングヘアーでスタイル抜群の美少女の半裸。これを眼福と呼ばずしてなにが眼福というのだろうか。
で、一方、俺の投げたケーキだが、ちゃんと秀子ちゃんに命中していた。左肩に命中したようでオーバーオールの肩紐とTシャツが破れ、純白のブラの肩紐とわずかだが胸の谷間が見えていた。
秀子ちゃんは胸はあまり大きくない。いや、どちらかと言えば控えめだ。だがその形は上向きでいい感じなのである。
さっきのギャラリーの男たちの歓声も、どうやらダイキチーナだけじゃなく秀子ちゃんの胸を見ての感想も入ってそうだ。
「……なかなかやる」
「どうも。……正直そっちの必殺技に苦戦しているよ。両利きだったんだね?」
「両利き? ……違う」
秀子ちゃんは俺の質問の答えを否定した。
……え? 秀子ちゃんは両利きじゃない? じゃあ、なんで左右の手どちらで投げても命中するんだ?
あれはどう考えても左右どちらも利き腕状態だろうが……。
俺はそこまで考えていたのだが、そのときフッと頭をよぎる思いつきがあった。
……もしかしたら……。
俺はケーキを掴んだ。それも右手、左手の左右でだ。
俺の利き腕は右手だ。だが試してみる価値はある。なので左手でも掴んでみたのだ。
そして左右ともに投げる。
投擲は俺と秀子ちゃんはほぼ同じであった。
今度は空中でぶつかることなく、互いに相手のところに到着する。だが、俺は射線を予測できたことで見事に避けることができた。
そして避けながら見る。
……思った通りだった。
俺が左手で投げたケーキも逸れることなく秀子ちゃん目掛けて飛んでいくのがわかったのだ。
……やはり神力。
そうなのだ。
秀子ちゃんは元々両利きではなかったのだ。ただ神力でこのゲームの中では両利きが可能にしていただけなのだった。
なので、それはゲームルール上、俺にも適用されていることが判明したのだ。
しかし秀子ちゃんもなかなかだ。
俺の投げたケーキの弾道をしっかり見極めたようで、着弾寸前にヒラリと身を躱したのだ。
それからは俺と秀子ちゃんは両手でのケーキの投げ合いとなった。だが目が慣れてきていることで互いに命中することはなく、両者手詰まりの状態となっていた。
「当たれ!」
「嫌よ」
そんな言葉も応酬しながら、俺たちはケーキを投げあった。
だが、それもお終いに近づいた。
それはケーキの残量だった。テーブルいっぱいに並んでいたケーキだったが、今までの俺たちの投げ合いで残りがわずかになったのだ。見ると残りは3つ。
俺は急いで2つを確保しようとした。だがすんでの差で秀子ちゃんに2個奪われてしまったのだ。
仕方ない。
俺は1個しか掴めなかったケーキを素早く秀子ちゃんに向かって投げたのだ。
「私の勝ち」
すると秀子ちゃんはとんでもない戦法に出た。なんと顔を前に突き出して顔面で俺が投げたモンブランケーキを受け止めたのだ。
ケーキが潰れ、秀子ちゃんの顔はクリームまみれとなる。
――その手があったか!!
俺は秀子ちゃんの作戦に舌を巻く。
そうなのだ。顔面には服が当然ない。なので顔に当ててもなにも脱げないのだ。
顔面ケーキまみれなのです。(`・ω・´)∩
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