464話 必殺両手投げは強力なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
……な、なんだって~!
仰天する俺に向かって必殺両手投げが実行された。両手でそれぞれ掴んだケーキを秀子ちゃんが俺目掛けて投げつけてきたのだ。
「危ねっ……!」
俺は躱すために身を捩る。
だが、憎らしいことにそれぞれのケーキはタイミングを合わせて投げられた。しかも両方とも同じコースではなくひとつは俺の上半身、もうひとつは俺の下半身に狙いを定めていたのだ。
胸を狙ってきたケーキは避けられた。だが、もうひとつは尻に当たってしまった。身を捩ったため前ではなく、後ろに命中してしまったのだ。
俺はとっさに自分の尻を見る。
するとショートパンツはすっかり破れてしまい、下着の青いパンツが半分くらい千切れてしまっていた。
つまりお尻の割れ目がすっかり丸見えになってしまっていたのである。
「うおーっ!」
「すげー!」
「お尻が丸見えだ!」
「形が美しい! 綺麗だ!」
「美尻だ! 完璧な美尻だ!」
ギャラリーの男たちの野太い歓声がここまで聞こえてきた。
なんてこった。見ず知らずの相手に対してサービスし過ぎにも程がある。
俺は両手で隠してしまいたい衝動にかられたが、今はゲームの最中だ。そんなことをしていたら、あっという間にケーキをぶつけられて全裸に剥かれてしまう。
「……直撃。続けて両手投げ」
秀子ちゃんがそう宣言した。そしてその通りに再び左右の手でケーキを掴んだのだ。
俺は気を取り直して手近にあるチーズケーキを掴む。
そして瞬間に閃いたある作戦を行うことにした。
「発射!」
秀子ちゃんが両手でケーキを投擲してきた。
俺はそれを待っていた。投げられた2つのケーキの片方に向けて俺もチーズケーキを投げたのだ。
するとちょうど良くケーキに当てることができた。空中で衝突した2つのケーキは真下に落下する。
そして残ったのは俺を狙ったもうひとつのケーキだ。俺はそれをぎりぎり避けることに成功する。
急激な身のよじり方なので、胸とお尻がたゆんと揺れるのが自分でもわかる。
「「「「「おおっ~!」」」」」
ギャラリーの男たちのどよめきが聞こえてきた。
それにしても思う。……男ってのは下品で単純だ。仮に俺の中身が実は男なんて事実を知っても行動には関係ないんだろうな。
ただひたすら女体を眺め楽しんでいるんだろう。
……なんか金でも取りたくなってきた。
「上手く避けた。だが両手投げは続く」
そう宣言した秀子ちゃんがまたもや右手と左手にケーキを掴んで投げてくる。
どっちも上手に投げられることから秀子ちゃんは両利きなんだな、なんて考えながらも俺もケーキを右手で掴んで投げるのであった。
俺が投げたケーキは今度は外した。最初は秀子ちゃんが投げたケーキにぶつかると思ったのだが、際どいところで衝突しなかったのだ。だが俺の投げたケーキはそのまま秀子ちゃんに向かう。
で、俺に向かって飛んできた2つのケーキだ。
ひとつはまっすぐ直線に、もうひとつは山なりに緩い速度で飛んできた。ずいぶん器用な真似ができるもんだと感心したが、これは避けないとマズい。
俺は当然、弾着が早い直線で投げられたケーキを、ギリギリで躱す。本当のギリギリであと一瞬でも反応が遅れていたらショートパンツは完全に破れてしまい、下着のパンツ姿になってしまうところだった。
しかも破れかけだから、見られると相当に困る状態だ。
(……マ、マズい。もうひとつは……!?)
最初の一撃を躱すのに必死だったことで山なりに投げられた二投目のケーキを俺は完全に見失っていた。
急いで頭上を見回すと俺のほぼ直上にあった。
(……くっ。……避けられるか!?)
俺は不自由な態勢から後方に飛び退った。だが、左胸にボスンとケーキが着弾してしまったのであった。
両手投げに苦戦中なのです。(`・ω・´)∩
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