46話 邪神の役割です。
【毎日昼の12時に更新します】
この作品には以降のストックがありません。
そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。
「じゃあ、辻神呂姫さんは神子さんと同じ肝試し係でいい?」
学級委員であり、この班の班長でもある河合花菜さんがそう呂姫ちゃんに告げた。
「構わないけど、もう神子さんが担当なんでしょ? 二人も必要なの?」
澄み切った青空のような色の目の美少女、呂姫ちゃんが、黒髪黒眼の美少女である河合さんにそう尋ねた。
「肝試しの場所も広いし仕掛けも大変みたいで人手が足りないらしいんだ。だから辻神さんが来てくれたお陰で助かるんだよ」
「そうなの? ならいいよ」
呂姫ちゃんは快く引き受けた。
だが恵みちゃんを見ると苦虫を噛み潰した顔のままだ。
「そんなに嫌いなのか?」
俺は小声で恵ちゃんに尋ねた。
するとブスッとした表情で答える。
「呂姫ちゃん個人が嫌いとかじゃないんですっ。
彼女の役割と私の役割が相反することが多いので困るんですっ」
「天敵みたいなものか?」
「そうなんですっ。
邪神はいたずら好きなんです。いたずらが仕事なんですっ。
子宝の件で言うと、人間と異種族の間に子供ができるのはだいたい邪神のいたずらです」
「はあ。……神話とか昔話にあるな。
雪女の話じゃないけど妖怪と人間の間に子供ができたなんてのは、結構聞いたことあるな……」
「そう。それですっ。だいたい呂姫ちゃんのいたずらなんですっ」
「いたずら?」
「はい。だからですねっ。
例えば人間の同性同士で妊娠させることも可能なんですっ。
なので、大吉さんと新井さんの間に子供ができちゃうこともあるんです」
俺はそれを聞いてドン引きした。
「それ、スゲー嫌だぞっ……!」
すると河合さんとの打ち合わせが終わったのか、呂姫ちゃんが俺と恵ちゃんのところにやって来たのだ。
「それがあなたの新しい氏子ね?」
そういって呂姫ちゃんは美しい顔をちょっと歪めてニヤリと笑った。
ちょっと怖かった。
「そうですよっ。とっても大事な氏子なんで、いたずらしないでくださいねっ」
恵ちゃんがムキになって言う。
「そう言われると私へそ曲がりだから、余計にいたずらしたくなっちゃうな」
そんな恐ろしいことを呂姫ちゃんは言うのである。
そんなときだった。
大方のクラスの連中が班ごとに集まり始めていた。
これから順番に貸切バスに乗るためだ。
「あのー。加茂くん、神子さん、……辻神さん。
そろそろバスに乗らないと……」
遠慮がちに声をかけてきたのは、今後、どん底の人生が待っている新井慎一だった。
会話に夢中で一向にバスに向かわない俺たちを気遣ってくれたようだ。
そのときだった。
「……あなたは誰っ?」
金髪碧眼超絶美少女の辻神呂姫ちゃんが、のこのことやって来た新井の両肩をむんずと掴んだのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。