459話 遊戯秀子ちゃんの登場なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「残念だったね」
「そうね。あと少しだったよね」
そう言いながら彩花ちゃんと沙也加ちゃんは僕たちのところへと戻って来た。それを俺と恵ちゃんが労うのであった。
「でも、すごかったわよVR」
「そうよ。まるでホンモノだったわよ」
2人は興奮気味にそう告げている。どうやら相当臨場感がある体験だったようだ。
それにしてもだ。
この従姉妹2人のゲームの腕はすごい。さっきプレイしていた男2人組もここでプレイするからにはそれなりにゲームをやり込んでいる連中だったと思えるのだが、その2人はボスキャラまで到達できなかった。
だが、彩花ちゃんと沙也加ちゃんはあとちょっとでボスキャラを倒せるところまでゲームを進行させたのだ。
せめてあと1分残り時間があれば倒せたのは確実だったろう。
「さあ、今プレイしてくれた美少女姉妹はなかなかの腕前を披露してくれました。では次の抽選を行いたいと思います。……。……。……。次は302番と、……。……。……1番の方ですね」
アナウンスに妙な間があった。なんか無言の時間が長いと感じたのだ。
「302番でダイキチーナちゃんじゃない?」
「そうよ。連続して私たちなんてラッキーね」
そうだった。302番は俺だった。
俺は自分が持っている番号札の数字を凝視する。確かに302番てのは俺だ。だが、彩花ちゃんが300番で沙也加ちゃんが301番、そして次も俺って出来過ぎてないか……?
そんなときだった。
俺の横にいた恵ちゃんが俺の耳元で小声で囁いたのだ。
「……神力の介入を察知しましたっ。神の誰かがここにいますっ」
「えっ? ……誰なの?」
俺は辺りをキョロキョロと見回す。だが集まっている人が多すぎて顔見知りの神々たちの姿は発見できない。
「私にもわかりませんっ。……きっと気配をずっと消していたんだと思いますっ。相当の手練れの神ですっ」
俺たちは1番の番号札を持つ人物を探した。だが、やはり人だかりの中に該当しそうな人物は見当たらない。
誰もが辺りをキョロキョロと見回すばかりで、ステージに向かう人物がいないのだ。
「302番さん、1番さん、ステージに上がってください」
アナウンスに催促されたので俺は仕方なく足を踏み出した。そしてステージに立つ係の人に番号札を渡す。
すると賑わいからどよめきの声が広がったのだ。
「なにあの子、外国人?」
「すげー美少女だな」
「金髪碧眼かよ。あれだけ見事な色も珍しいな」
「ホントに金色の金髪で真っ青な瞳だ。スタイルもすげーし」
そうだった。
俺はダイキチーナの姿だったのだ。外見はどこから見ても白人美少女なのだ。注目されない方がおかしい。
しかもである。更なる声がいくつも聞こえてきたのだ。
「……あれ? もしかしてBeeeTubeで配信してる女の子じゃないか?」
「……そうだよ。……確かダイキチーナちゃんだったと思う」
「間違いないな。まさか本物に会えるとは感激だ」
「美しい。そしてゲームが上手い。完璧ゲーマーだ」
なんてことだ。
俺がネット配信しているゲーマーだとバレてしまったのだ。
まあ、それなりに再生数は稼いでいるのでゲーム好きの男なら知っている者もいるだろう。ここはゲーセンだから尚更だ。
「えーと。……1番さん、いらっしゃいませんか?」
アナウンスの声が再び響く。
もしかしたらどこかに行ってしまったのだろうか?
そんなことを俺が思い始めた頃だった。
「再戦」
いきなり背中から女の子の声が聞こえたので、俺は思わずびっくりして振り返ってしまう。すると黒いキャップを被り、胸元まで無造作に伸ばした髪で白いTシャツにデニム素材のショート丈オーバーオールを着た見覚えある少女が立っていたのだ。突然に湧いて出たかのような登場だ。
「……秀子ちゃん?」
「そう。ダイキチーナの姿が見えたので再戦」
なんとそこにいたのは遊戯の神である人間名:遊戯秀子ちゃんだったのだ。美少女ではあるのだが、相変わらずの無表情で言葉の抑揚がなくカタコト感がある喋り方だった。そして差し出したその手には1番の番号札があったのだ。
なんとゲーセンに秀子ちゃんがいたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。