452話 初めての装着なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
恵ちゃんが俺の部屋を急いで出て行き、やがてすぐに戻って来た。バッグを抱えているところを見るとどうやら自分の部屋から持って来たようだ。
「なんかあるのか?」
「あるかもですっ。以前にお店に行ったときにシーズンオフでセールしてたのを、いくつか買い込んでいたのを思い出したのですっ」
そしてどれだけの容量があるのかわからない謎の神力バッグから恵ちゃんがいくつもの女性用の衣服を取り出したのだ。
「ありましたっ。ブラにキャミソール、ブラウスにショートパンツにミニスカート、いろいろ見つけましたっ」
そして恵ちゃんは俺にブラを差し出した。俺はちょっと恥ずかしさを感じていたが今はダイキチーナの身体なので、これは必須なのでしっかりと受け取った。
そして見る。
「……なあ。これはお前が自分用に買ったものだろう? ずいぶんとサイズが違うようだが……」
そうなのだ。
カップの大きさが恵ちゃんが使うにはあまりにも大きすぎるのだ。そのことを指摘された恵ちゃんは頬を膨らませて返答する。
「将来を期待してですっ。他意はありませんっ」
まあ、その気になれば身体の大きさを調整できるのが恵ちゃんだ。別に使えないって訳じゃないしな。
「悪かった。……じゃあ、遠慮なく使わせてもらう。……だが問題がある」
「なんでしょうっ?」
「俺はこれの付け方がわからん。手伝ってもらえるか」
そうなのだ。
男の俺に女性用の下着に付け方などわかるはずがない。そのことを伝えたので恵ちゃんがあれこれと手伝ってくれるのであった。
……なんか、締付けが……きつい。
初めてのブラの感想はこれだった。
包まれる感と持ち上げられている感がすごい。だがこれは同時に安心感にもつながる。これを装着していれば、なんか見られても大丈夫な感じがしているのだ。
「う~む。……なんか防具を装備したイメージだな。剣道の胴とかだ」
「おもしろい表現ですねっ。……まあ、男の人だとそういう印象になるのもわかりますっ」
そんな会話をしながら俺は今度は目が覚めるような鮮やかな青い柄物のTシャツと女性らしい色使いのショートパンツを身に着けた。
どれも恵ちゃんのバッグから出てきたものだ。
「うん。これで大丈夫だな」
「そうですねっ。どこからどう見ても普通の女の子ですっ」
あのな、北欧とかじゃ普通かも知れないが、この極東の地では金髪碧眼は普通じゃないぞ。
そうツッコミたくなったが、止めておいた。
恵ちゃんが言いたいのは似合っているという意味だろう。つまり女の子の装いとしては十分だということだ。
「……俺はそろそろ寝巻きに着替えて寝ようと思うんだが、いいか?」
「はいっ。大丈夫です。朝までにみなさんの記憶を神力で改竄しておきますから……。はう。……痛いですっ。……突然、なにするんですかっ」
恵ちゃんが頭を抑えて涙目になっている。
そうなのだ。俺は恵ちゃんの頭部に手刀を落としたのだ。これはもちろん意味があっての行為だ。俺だって理由もなく手刀を使ったりはしない。
「思い当たる節はあるだろう」
俺はそう恵ちゃんに問うのであった。
初めての体験なのです。(`・ω・´)∩
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