451話 打開策なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
……ん?
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけだが呂姫ちゃんより胸が小さい気がするぞ。
そうなのだ。
この容姿は間違いなく呂姫ちゃんなのだが、いつもと比べ胸がやや小さいような感じがするのだ。
服の上からの観察だが、神力で生を見たこともあるのでたぶん間違いない。
そして姿見の大きな鏡で十分観察を終えた俺は、その予想を確信するのであった。
「……なあ、これ、ホントに呂姫ちゃんか?」
すると恵ちゃんは、なにを言われたのかわからないようで、きょとんとなる。そして尋ねてくるのであった。
「……えっとっ。どう見ても呂姫ちゃんですよっ。だって顔がそうじゃないですかっ」
「いや、顔が呂姫ちゃんだというのは間違いないんだが、首から下が呂姫ちゃんじゃない気がするんだ」
「ええっ。……そんなことあり得るんですか……? あり得ますよね……」
恵ちゃんは自分が女体化、男体化の神力が苦手で過去の失敗を思い出したようだ。すると恵ちゃんの表情に変化が見られる。それは疑問であったようだ。
「じゃあ、だとすると誰の身体なんでしょうねっ?」
「そうなんだよな……」
俺は腕組みして考える。すると自然に胸が盛り上がる形となる訳で、それに欲情しかねない俺はあわてて腕組みを解くのであった。
「呂姫ちゃんに負けないくらい胸があって、肌も色白……。そうなると……」
「ああっ、わかりましたっ。その身体はきっと集子ちゃんですねっ!」
なるほど。納得した。
高利貸しの神である金尾集子ちゃんは呂姫ちゃんとほぼ同等のグラマラスボディだ。そして肌の色は白磁のように真っ白で、これまた呂姫ちゃんと同じくらいの色なのだ。
「首から上が呂姫ちゃんで下は集子ちゃんか……。まあ、キメラだな」
「そうですねっ。……違和感がないのが救いですが失敗には違いありません」
そうなのだ。
俺は元の大吉の姿に戻らなければならないのだ。じゃないと朝を迎えると大変な事態になってしまう。
「……それにしてもなんですが、よく身体が集子ちゃんとわかりましたねっ。正直、私は全然気が付きませんでしたっ」
すると俺はうろたえてしまう。
なんとも説明がしづらいのだ。
「……以前に神力の影響で呂姫ちゃんの裸や集子ちゃんの裸を見たろ? それでなんとなくだ」
説明になっているような、なってないような、歯切れの悪い返答になってします。すると恵ちゃんは、ニヤァ、とイタズラっぽい目つきになるのであった。
「ははあ。……やっぱり大吉さんは女の子の身体に興味津々なんですねっ。安心しましたよっ」
「安心するな。……でだ。悪いがまたチャレンジしてくれないか?」
「わかりましたっ」
そしてそれから恵ちゃんの神力が行われた。
だが、ことごとく失敗となる。
今度は首は秀子ちゃんで下が臥留子ちゃんになったり、首は集子ちゃんだが身体が恵ちゃんになったりと散々な結果となってしまったのだ。
そして俺は今、ダイキチーナの姿に戻っている。恵ちゃんに言わせるとダイキチーナの姿を変えるのは大変だが、元のダイキチーナにするのは簡単らしい。
「……やっぱり難しいのですっ」
「そうだな。……これは別の策を考えた方がいいかもな」
そこで俺はあれこれと思考を巡らした。そしてひとつの策を思いついたのだ。
「なあ、お前の神力でこの家の子供が大吉じゃなくてダイキチーナだったってことにできないか?」
苦肉の策だった。だが現状、恵ちゃんの神力では俺を元の姿に戻せないのであれば、いっそこのまま突っ走った方がいいんじゃないかと思われたのだ。
「……やろうと思えばできますけどっ。……でも、服とかどうするんですっ。男物しかないですよねっ」
「……そうだな。その問題があるか」
そうなのだ。
今俺が着ているのは上はTシャツ、下はハーフパンツだった。部屋着なら女の子でもアリだろうけど、それでも問題はある。まずはブラがないことだ。そのため胸の大事な部分がくっきりと形として浮かべ上がってしまっている状態なのだ。
そしてハーフパンツも男性物だけあって、デザインとかがちょっと似合わない。
そんなときだった。
「ああっ。待ってくださいっ。もしかしたらなんとかなるかもしれませんっ」
女体化、男体化は難しいのです。(`・ω・´)∩
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