450話 変身の戻し方なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「自分で変身したのに、戻る方法がわからないのですかっ?」
「ああ、わからん。……そもそもどうしてダイキチーナになれたのかもわからんのだからな」
そうなのだ。
俺は現状を打破できればと、この姿を願っただけなのだ。
……ん? 待てよ。じゃあ、だとすれば……。
「ちょっと待ってくれ。今、戻れるか試してみる」
俺は念じた。元の大吉をイメージして、うんうん唸ってみたのだ。
だが……、駄目だった。俺の姿は金髪碧眼で巨乳で美乳の美少女、ダイキチーナのままだったのだ。
そして俺は自分を見下ろす。……なんて破壊力抜群のボディなのだろう。今俺はTシャツ姿なのだが、下着はなにも付けていないので胸の隆起がそのまま形となって盛り上がっている。つまり見えちゃいけない部分の形状までしっかりわかる状態になっているのだ。
「……大吉さん。またダイキチーナちゃんに欲情してませんかっ?」
「……う、ぐぐぐ」
ヤバい。見抜かれた。
俺は、コホンと咳払いをひとつして誤魔化す。
そして口を開く。
「なあ、そう言えばなんだが、臥留子ちゃんに頼めないか?」
そうなのだ。
疫病神である山井臥留子ちゃんは女体化、男体化の達人なのだ。彼女に頼めば俺が元の姿に戻れるのは確実だろう。
だが、恵ちゃんは首を左右に振る。
「もう、こんな時間ですっ。臥留子ちゃんは寝ていますでしょうし、例え来てくれたとしてもタクシーを飛ばしても、この家に到着する頃には朝になってしまいますよっ」
そうだった。
ここは県外の俺の実家なのだ。臥留子ちゃんは都内にいるはずだ。こんな時間に電車は出ていないし、そうなるとタクシーだが、それでも恵ちゃんが指摘した通り、朝になるまでこの家には到着できないだろう。
「マズいな。朝になれば親たちも起き出すだろうし、誤魔化すのは無理だな」
「ですねっ。……仕方ありません。あまり得意じゃありませんが、私が試してみます」
そうだった。
恵ちゃん、いや、他の女神たちも女体化、男体化は可能なのだ。だがそれはあまりにもお粗末で、以前、眠りの神である眠京太郎の身体を女体化させようと試みたとき、首より上は女性だが下が男性だったり、首がいくつも生えてしまっていたりと化け物を量産してしまったことを思い出す。
だが、それ以外、今は方法がない。なので俺は仕方ないと思いつつ、恵ちゃんにお願いすることにした。
「その前に彩花ちゃん、沙也加ちゃんをこのままにしてはおけないな」
「そうですねっ。ふたりで手分けして寝室に運びましょうっ」
そして俺たちは背後から引きずるように彩花ちゃん、沙也加ちゃんを俺の部屋の隣にある客室に運び入れるのであった。これで従姉妹の2人の件は安心だ。
それから改めて俺、いや、ダイキチーナと恵ちゃんは俺の自室へと戻った。そしてふたりして正座して向かい合う。
「じゃあ、試してくれ」
「わかりましたっ。では、ほにゃらっ」
恵ちゃんはRPGゲームであるスピリット・クエストでプレイしてから気に入っているのか、そんな脱力しそうな掛け声とともに両手を上げて神力を行使するのであった。
するとボフンと白煙が上がり、俺の身体は濃霧の包まれた。
やがて晴れる霧。
「……どうだ?」
「駄目です。……なんと、呂姫ちゃんになっちゃいましたっ……」
……なんてことだ。
俺は差し出された手鏡を見る。すると鏡に映っていたのは、どう見ても邪神である辻神呂姫ちゃんだったのだ。
……いや、違う。どこかに違和感がある。俺はよくよく注意して今度は姿見で確認するのであった。
ダイキチーナから呂姫ちゃんになってしまったのです。(`・ω・´)∩
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