45話 邪神の登場です。
【毎日昼の12時に更新します】
この作品には以降のストックがありません。
そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。
「ここからは貸し切りのバスでの移動となります。
各班は班長の指示に従って間違いなくバスに乗ってください」
若杉先生が駅前ロータリーに整列した俺たちの前に立ちそう告げた。
で俺たち一年二組三十五名はそれを静かに聞いていたのだが、最後列に並んでいた俺はそのときふと疑問を感じた。
おかしい……。
十名ずつ並んだ列が三列続き、最後に俺を含めた五人が余る形で並んでいるはずなのだが、最後尾が六名いるのだ。
これではクラスが三十六名いることになる。
最初は間違って他のクラスのヤツが並んでしまったのかと思った。
だが俺は最後尾なのでここから見えるのはクラスメートの後頭部だけなので、他クラスのヤツが混じったのかどうかはわからない。
俺は横に立つ恵ちゃんの肩を突いた。
「あのさあ、なんかこのクラスの人数、ひとり増えてないか?」
すると恵ちゃんはなぜか怯えた表情を見せていた。
「……嫌な予感がさっきからヒシヒシとしてるんですっ」
「嫌な予感? なんだそれ?」
「増えたかもしれませんっ。……私がさっき余計なことを口走ったからかもしれませんっ」
意味のわからないことを言う。
そしてやがて解散となりそうな雰囲気だったのだが、そこで若杉先生が急に思い出したかのような顔になった。
「そうでした。注目してください。
転校生を紹介します」
「なんだってえ~っ!」
俺は思わず大声を上げていた。
だがそんなことをしたのは俺だけで、なぜかクラスのみんなは何事もなかったかのように落ち着いた態度をしている。
俺は思った。
この異変は間違いなく神力だ。
神力で誰もがこのおかしな状況に違和感を持たなくなっているのだろう。
やがて先生に呼ばれて真新しい制服姿の一人の女子生徒が列の中から出てきた。
活発そうな肩までの短い髪の少女だった。
だがその容姿は異様だった。
金髪碧眼、つまり金色の髪の毛で目が青いのである。
明らかに白人の少女だったのだ。
「辻神呂姫さんです。みなさん仲良くしてくださいね」
そう言って先生は俺たちにそう告げた。
「うう……。邪神が来ちゃいましたっ……」
俺の横で恵ちゃんが頭を抱えているのが見えた。
「辻神呂姫です。まだみなさんのお名前もわかりません。
頑張りますので仲良くしてください」
笑顔が素敵な呂姫ちゃんは満面の笑みでそう告げた。
「では……。じゃあ河合さんの班に入ってください。
河合さん、よろしくね」
そう言われた河合花菜さんは、任せてくださいとばかりの笑顔を見せた。
学級委員の河合さんの班に入れるのがいちばんだと先生は判断したようだ。
そして呂姫ちゃんは俺たちのところへと来た。
「……どうしてあなたがいるんですかっ?」
キッと睨むように恵ちゃんが呂姫ちゃんに告げる。
「ツレナイこと言わないでよ。人間名:子作大漁。
私とお前の仲じゃないの」
いろんな疑問はある。
だがまずは子作大漁って誰だ?
「あなたとなんか親しくありません。それに私は神子恵ですっ」
「ああ、今はそういう名前なのね。
じゃあ今からそう呼ぶから。よろしく神子恵ちゃん」
「うう……」
……ははあ。
なんとなくわかったぞ。
恵ちゃんは神子恵と言う名前を俺と会ったときに考えた、って言っていたはずだ。
なのでそれ以前は子作大漁と言う人間名を名乗っていたんだろうな。
……それにしても子宝の神として、あからさまで、どストレート過ぎる名前だ。
今の神子恵の方がそれらしくていい名前だな。
そしてである。
勝ち誇ったかのような金髪碧眼の呂姫ちゃんと、苦虫を噛み潰したかのようなしかめっ面の恵ちゃんの表情は対象的だった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。